第佰枯肆話「離さない」 ページ17
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彼は不思議そうに首を傾げていた。
「何でお前、掴んでんだよ」
「だから逆!!君が掴んでる私掴まれてる、私動けません!状況把握宜しいですか!?」
「おい、さっきまで洞窟探検してたろ、何で主の腹ん中に戻ってんだ?」
「話を聞け!!!!」
しまった、コイツもゴッドオブマイペースだった。神の所業だった。
彼は「意味分かんねえ」と言いながら、そして何故か私の腰をべちん!と叩いてから離れた。いや叩く理由が何処にありました!?!?
「おいAお前、こうやったら猫みてぇに鳴いただろ。鳴けよ」
「そんな癖ありませんけど!?!?!?誤解されるようなこと言わないでくれますか!!!」
「親分の言う事聞けェ!!媚びるように鳴いてみやがれ子分その零!!!」
「鳴くかァァァ!!!いよいよ人権失われるわ!!!!」
少年少女と襧豆子ちゃんの前でそんな言い合いをしていたが、これ普通に子供に悪影響じゃない?
クソ低俗な会話だけど大丈夫これ?私のせいで性格ねじ曲がったらごめんね!!!文句は君達を騙した鬼に言ってくれ、私はあの鬼を絶対許す気ねーから首狩るつもりだけど!!!
暫く抵抗していたらようやくいのっちは諦めたようで、「けっ、また意地張りやがって天邪鬼が!もういいぜ、猪突猛進!!!」といつもの刀(前より新しくなった…?)を二振り構えて扉をぶち壊す勢いで開けて出て行った。猪かお前は、寧ろ予想通りだわ。
………さて、片方の拘束が解けた。問題はもう一つだ。
手をぎゅっと握ったまま眠る善逸くんの顔を見る。やはり幸せそうな顔をしていた。張り手でもして起こしてやろうと思った気持ちがどっかへ飛んで行くほど幸せそうだった。
だからといってこの手を掴むのはやめてほしいですけどね??しかもいつの間にか指と指を絡み合い、所謂「恋人繋ぎ」になっていた。一瞬の早業に言葉を失うばかりである。
「善逸くん。もしもし、善逸くん?」
「えへへ……」
「離してくれないかな、ねえ」
「うふっ、ふふ……」
「善逸くん。私ここから動きたいんです。もしもーし」
「……………め」
「え?」
「……だめ、行かないで」
ぎゅっと、先程より強く手を握られた。
……今更だけど、寝てる人と会話するのってマズイ行為だと聞いた気がする。迷信だか何だか知らないけど、あの世に連れてかれるとか何とか……
ヒェッ、普通に喋ったけど大丈夫かな!?善逸くんか私、どっちか死んだりしないかな!?
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (1月30日 19時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
まる - ここで更新停止かぁ… (2021年9月29日 23時) (レス) @page28 id: 87d8813e38 (このIDを非表示/違反報告)
お酢 - 更新楽しみに待ってます!!!更新頑張ってください!!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: e1ff724525 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 応援しています。更新を楽しみに待ってます。 (2020年10月10日 21時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
さくらのん - 面白いので、更新停止されてて悲しいです。 (2020年8月3日 12時) (レス) id: 7e097f90aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年8月12日 21時