第佰枯弐話「やくそく」 ページ15
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「(遊園地とか数年前に行ったっきりだったけど……)」
しかもその時中学生だったしな。近所の小さな遊園地に家族で行っただけだ。確かに滅茶苦茶楽しかったから印象に残ってたけど……
私の心は、そんな派手で煌びやかな世界だったのか。
「(なんか意外だ……)」
「ねえ、お姉ちゃん!あの場所はどこにあるの!?あたし行きたい!もういっかい見たいの!」
「こら、そんな無茶な事」
「いや、無茶じゃないよ。きっと見られる筈だ」
何てったって、遊園地の歴史は古いんだ。明治時代に出来たところもあるらしいし、きっと今の時代にも存在する筈だ。
彼女の頭を撫でる。敵意はない。寧ろ私の行為に首を傾げながらも甘んじてくれている。近くには鋭利な切っ先の錐が転がっているというのに。隣の少年も、それに目を向けることは一度だってしなかった。
優しい子たち。君達は、私たちを眠らせた鬼に心を付け込まれた被害者なのだろうか。
「お嬢ちゃん。この先何があっても、道だけは踏み外しちゃ駄目だよ。危ないこと、人にしちゃいけない事、人を悲しませるような事は、絶対しちゃいけない」
「……っうん!しない!絶対に!」
「うーん、良い子。よしよし。良い子にしてたら、いつかきっとあの世界が見られるから。お姉ちゃんが保証してあげよう!」
「ほんと!本当に!?」
「ホントウ。……良い子になるって約束してくれる?」
「っする!あたし良い子になる!やくそく!」
なんだ、滅茶苦茶良い子じゃないの。
彼女と小指を絡ませ、指切りげんまんをした。何故この子が鬼に付け込まれるような事になったのかは知らない。
知らないけど、幾度となく人の心を踏み躙るような反吐の出る鬼を絶対に許さない。そう思った。
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第佰枯参話「離したくない」→←第佰枯壱話「虚無の世界に光が差す」
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (1月30日 19時) (レス) id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
まる - ここで更新停止かぁ… (2021年9月29日 23時) (レス) @page28 id: 87d8813e38 (このIDを非表示/違反報告)
お酢 - 更新楽しみに待ってます!!!更新頑張ってください!!! (2020年10月22日 21時) (レス) id: e1ff724525 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - 応援しています。更新を楽しみに待ってます。 (2020年10月10日 21時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
さくらのん - 面白いので、更新停止されてて悲しいです。 (2020年8月3日 12時) (レス) id: 7e097f90aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年8月12日 21時