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智｢おじゃましやーす｣
滑舌はあまり良くない彼
猫背で決して背が高いとは言えない身長
よくよく顔をちゃんと見ると整った綺麗な顔立ちで
鼻筋がきれいにスっと通った横顔についつい見惚れる
家なくしたってあれか、
彼女と痴話喧嘩で家追い出されたとかそういう感じかな？
そんな私の目線を気にせず、私の家の中を物珍しそうに見ている
少しは掃除しておけばよかったな〜
にしても、智さんの持つ空気感は心地がいい
変に気を使ってあれやこれやと話しかけなくてもいい
沈黙が苦にならない、そんな空気感
今日、初めて会ったのにそんな感じがしない
あ、でも会ったの初めてじゃないって言ってたっけ
うまくはぐらかされたけど、どこで会ったんだろ
彼氏以外の男性を家にあげたのはいつぶりだっけ
智｢なに突っ立ってんの？
ほら、Aも座んなよ｣
そう言い、自分の座ってる隣をポンポンと叩いている
｢あの！…泊まるっていつまでですか？｣
智｢ん〜3ヶ月くらい？｣
｢そんないるんですか！？｣
智｢いいじゃんか〜
俺ここ気に入ったわ｣
｢はぁ〜、ちゃんと生活費払ってもらいますからね！！｣
智｢うぇ！？やっぱり？｣
｢当たり前ですよ！
私だって生活カツカツなんですから｣
智｢ちぇ、分かったよ｣
拗ねたように口を尖らす彼
｢そーいえば、シングルベッドしかないですけど家…｣
智｢一緒に寝る？｣
｢なっ！｣
智｢んふ、そんな照れなくていいのに(笑)｣
｢照れてない！｣
智｢冗談だよ、俺ソファで寝るから大丈夫｣
目を細めて微笑みながら、私の頭を優しくポンポンする
無条件な優しさに少し泣きそうになる
なんかちょっと調子狂うな、
そんな優しい顔で、私を見ないでよ
”智”という名前
過去に会ったことがある、らしい
これしか彼のことを知らない
謎だらけの彼との生活が始まった＿＿＿
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作者名：夢叶 | 作成日時：2019年8月25日 22時
