陰キャとさくまの水曜日 (ページ41)

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「あー…いつだっけ」

「え、うそでしょ」

ある日の授業中。このつまらない時間の隣の席には相変わらず阿部くんがいた。

「自分の大学の行事日程知らないの？」

「だって文化祭なんてサークル入ってる人たちの行事じゃん。建築は改まって展示とかもしないし、行く意味もないから日程なんて知らないよ」

「でも出店回るとかいろいろあるじゃん」

「賄いでお腹は満たされる」

「でた社畜」

だから社畜で何が悪い。

文化祭。
今月中にやるらしいってことは何となく知ってたけど、行く気もなければ興味もないので詳しい事は知らなかった。出店を出すのもサークル単位だし、学科によっちゃ作品展示とかもするみたいだけどこの学科は一切ない。

「来週だよ、来週の土曜」

「ふうん」

「ふうんじゃなくてさ、一回見に来てよ。ショーケースやるから」

「……バイト入ってると思う」

携帯を開いて予定を確認する。土曜日なんて入ってるでしょ、混むんだから。

「……空白だね？」

「え、なんで」

あ、そうだ。連勤になっちゃうからって休みにされたんだ。私が社畜なばっかりに……

「はい、てことで。別にサークルやってる所を見に来るわけじゃないんだからいいでしょ、お客さんよ。来週の土曜日の11時、建築棟入り口に来ること」

そう言って私の前にダンスサークルイベントのフライヤーを置いた。11時？なんでよ、ショーケース開始14時って書いてるじゃん。何でそんな早く行かなきゃならないの。

「14時って」

「休みなんでしょ？どうせなら出店とか他のサークル見て回んな。その様子だと去年も来てないでしょ？」

「当たり前」

「お供はするんで」

「はい？」

「来なかったらサークル強制入会」

頬杖をついてにっこり笑う阿部くん。この人、本当に無理やり。もしかしたら佐久間くんより無理やり。佐久間くん最近そんなにグイグイこないもん。

そうだ、こないな。忙しいのかな。

最近は水曜日も姿を見かけない、お昼に学食に連行されることもめっきり減った。そりゃあ私達みたいにがっつり課題があって忙しいとかもあると思うしいいんだけど。

かと思えば急に現れたりもするし、何なんだろう。

「俺らかっこいいから期待しててよ。サークル入りたくなったりしてね」

いつも自信満々なようで。阿部くんはまたふふっと笑う。