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コツを掴んだのか沢山のシャボン玉を生成するサクマはにっこにこ。そのうちシャボン液が無くなってしまってできなくなったことに気付いた彼は私の方を物足りなそうに見る。
「まぁ、もう一つあるけどもったいないからまた今度にしよ」
「またこんど？」
「うん」
「……こんど？」
「ふは、今度」
ちょっと不服そうだ。やっぱりちょっと聞き分けが悪くなってきた。
彼の手から諸々を少し強引に受け取って後片付け。そうだ、あの時は振り向いたらサクマが急に動かなくなって必死に阿部ちゃんちまで押していったなーって。
それを思い出して一人でふっと笑う。
それと同時に、分かり切ってるはずなのに彼が“機械人形”であることが改めて自分のどこかに突き刺さる。
一番憎い存在だった機械人形。
それは今も変わらない。
その憎いという対象に普通ならばサクマも入るはずだ。でも、今の私はサクマを憎いとは思っていない。でもだからと言って機械人形の存在を許せるわけじゃなくて。
そんな私が考えてしまう事は『サクマが機械人形じゃなきゃいいのに』
「……機械人形を許す方が簡単なのに」
なんでだろう、本当に。
「Aー」
じゃー、と広場の水道から流れる水が私の手を打ち続けていた。ぼーっとしていた私を不思議に思ったのかサクマが隣にしゃがみ込む。
「あぁ、ごめんね」
きゅっと蛇口を閉めて立ち上がる。ハンカチでそれらを拭いてから自分のバッグにしまうとサクマは私の手をまた握る。
「つめたーい、サクマあっためる」
ずっと水に打たれていた手は感覚が無くなっていた。
「……サクマはあったかいね」
握られたその手にじんわりと体温が移っていく。この手も、手から感じる体温も全部人間とほぼ同じなのに。逆に人間らしくないところの方が少ない気もするのに。
サクマが機械人形であることは変わらなくて
「……機械人形だから、なのかな」
段々と手の感覚が戻っていく中でぼんやりと気づいてしまったかもしれない。
サクマは機械人形だから私と出会ったのだ。機械人形だから私をこんなにも大事にするんだ。機械人形じゃなかったら……いや、機械人形として生み出されていなかったらサクマは元々存在していないんだ。
「人間だったら、なんて。思っちゃだめだね」
私はこれからも、サクマを“憎い対象”として。心のどこかでそう思いながら過ごさなければならないみたいだ。
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年12月2日 0時
