妖と共に最後の導きを 4

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恋とか、好きとかを説明するのは改めて難しいと思った。恋愛には複雑な事情が絡んできたりするし、第一に付き合うとか彼氏彼女の定義みたいなものも実際あやふやだったりする。

実際に自分の気持ちが恋であることにも気づかない場合だってあるだろうし。ニュアンスな感じがどうしても多くなってしまうこの関係を妖怪さんに説明するのは少しハードルが高かった。


「そっかぁ…つまり阿部ちゃんみたいなこと？」

「ん？阿部くん？」

「阿部ちゃんよく言ってた。Aちゃんは特別だって。だから阿部ちゃんはAちゃんの彼氏？」


多分人間だったらこんな事を言われたら面白がってたり揶揄ってると思ってしまうだろう。でもさっくんは一生懸命考えて、素直に受け取ってこんな事を言っている。


「そっかぁ、そんな事言ってくれてたんだね」

「うん、じゃあAちゃんは阿部ちゃんの彼女だね！」

「違うかなぁ」

「えー？違うの？なんで？」

「でも…そうなってくれたら嬉しいなって私は思うよ」


私は間違いなく彼に惹かれていて。そのきっかけも、理由も詳しくはわからない。気がついたらそうだった。でもそんなの分からなくていいと思う。これからも一緒にいたいって、自然と思えてる相手が彼なんだから。


「どうすればなれるの？」

「どうすれば、かぁ……」


一般的に言えばどちらかが告白して、どちらかがOKをして。それが彼氏と彼女になるきっかけなんだろうけど。それは単なる表面上のことであって



「……私が阿部くんの気持ちを動かせればかなぁ」



離れたくないと言ってくれた彼。きっとお互いの気持ちにはお互いが気づいていて、でも見て見ぬふりをしながら誤魔化して、悩んでいる。阿部くんはその離れたくないという気持ちに、この世界からいなくなりたいという気持ちがまだ勝っている。私もまた、その彼の気持ちに遠慮していた。



「さっくんみたいに素直になれたら、そうなれるかもね」



遠慮なんてもう、してる暇はない。




「俺Aちゃんと阿部ちゃんが特別になってほしい」

「そう？ありがとう」

「うん、なれる気がする。だから俺応援する。阿部ちゃんとこ行こ！」


ずっと考えていたようで難しい顔をしてたさっくんはにっこりと笑って私の手を取った。どこに向かってるかは分からないけど、照に聞いた！って嬉しそうにどんどん進んでいって。

ついた先は、見覚えのある場所だった。

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