妖と共に最後の導きを 4

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さっくんには少し他の場所で待っててもらって。私は「可愛くしてきてねー！」の彼の声にできるだけ応えようと丁寧に身だしなみを整えた。

でも背伸びなんかはしたくなくて。私が好きで、私が一番心地いいくらいのオシャレをして。素直な私を阿部くんに見てもらいたかったから。

そういえば私が会っていた彼は幽体にも関わらずちゃんと服装はその日によって変わっていた。どういう仕組みなんだろうとシンプルな疑問を持ち、でも妖怪の存在を認識した時から不思議なことは意外とたくさん起こるもんだと受け入れてる自分がいて。もう何でだろうなんて考えるのはすぐにやめた。

そんな事を自問自答しつつ、彼の服の雰囲気に合いそうだなって思ったものを持っている服の中から手に取ってしまった。

一緒にお洋服選んだりできたら楽しいんだろうな、なんて。こうやって彼のことを考えながら身支度をするのも、もちろん恥ずかしくなるけど変に否定はしなかった。

それが私の素直な気持ちなんだから。
それを伝えに行くんだから。


「うっわー！めっちゃ可愛いー！！俺が人間だったらそのー、彼氏ってやつ？になる！」

「ふふ、さっくん彼氏の意味分かってる？」

「んー、とりあえずめっちゃ好きーみたいな。あでも俺Aちゃんも阿部ちゃんも照も康二もふっかもみんなめっちゃ好きだなー、んー？」


分かんなくなっちゃって首を傾げてる座敷童さんに可愛いなぁって顔が綻ぶ。難しいよね、そういう関係性の定義って。


「みんなの彼氏？うん、そーゆーことだよね？」

「うーん、さっくん少し前に私と阿部くんに病院で幸せになれた人のこと見せてくれたでしょ？」

「うん」

「さっくん女の人のこと彼女さんって言ってたよね。それはなんで？」

「えー、ふっかがそう言ってたから。カレカノだねって。何それって聞いたら彼氏さんと彼女さんって」

「そっか。あの人たちもきっとそうなんだけど、人間の世界では人と人の間に友達とは違う別の"好き"な気持ちが生まれたりするんだよ。"恋"って言うんだけどね？なんていうか…その人と一緒にいるとドキドキしちゃったり、触れたいなって思ったり……そのお互いに恋をしてる人同士を一般的には彼氏と彼女っていうんだけど…男の人と女の人だけじゃなくて、男の人同士でもあるし女の子同士でもあるし、恋の形は人それぞれで……でもとにかくとっても大切で特別な関係なんだよ。難しいね？」

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