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「っ、あ……」
「Aちゃん、こっち！」
ぐっと身体が引っ張られて私は路地の壁際に追いやられた。私に覆いかぶさるようにふっかさんが盾になり、ものすごく強く吹き荒れる風に耐えている。
私もただふっかさんに捕まって強い風や時折聞こえる耳を裂くような叫び声に耐えることしかできなくて、今何が起こっているのかなんて分からなかった。
「っはぁ…大丈夫？」
しばらくしてふっかさんが息を切らしながら私にそう声をかける。恐る恐る目を開けるとそこには倒れている先輩と、同じように肩で息をしている照くんと康二くん。
「先輩…っ」
「大丈夫だ、少し意識失ってるだけ」
照くんが一つ息を吐いて、康二くんもむき出していた牙をしまう。先輩を覆っていた黒い靄は無くなっていて、どこか空気が澄んだ気がした。
「お前ら平気？」
「……こんなんに憑りつかれたらしんどいなんてもんじゃないで。よく引き付けたな」
人間の姿になってからそう答えた康二くん。大丈夫やと言うように少し笑って見せた。その顔に小さい傷がついているのが見えて、少し血がにじんでいる。
「ケガしてる…」
「こんくらい大丈夫やって、ご主人様守るためならこんなんなんともないわ！」
その傷に似つかわしくない程にぱっ！と笑った彼。「照にいおつかれやでー」と照くんに向かってもまた笑って見せた。
「照は」
「俺は何ともないよ」
「そう、よかった」
私を支えて一緒に立ち上がったふっかさんが安堵の表情を見せる。そして倒れている先輩を一瞥し、そのまま目線は私に。
「かっこよかったよ、新しい一面を見た気がする」
そう微笑んで言ったふっかさん。その途端に自分の中で張り詰めていた緊張や恐怖、いろいろなものが無くなった。
「うわっ」
ふっかさんが膝から崩れ落ちた私を驚きながらも受け止める。私の手足は震えていて、その中で見えた倒れる先輩にすらまた恐怖を感じた。
もう、こんなこと起きてほしくない。
「仕事早退できたりしない？」
「……でもあと1時間もすれば定時なんで」
「土日休みだよね」
「はい…」
「今日終わったらおいで、泊まる準備もしてきてね。照に迎え行かせるから」
こくりと頷いた私の頭をぽんぽんと撫でてくれる。ふっかさんには申し訳ないけど、それで阿部くんのことを思い出してしまった。
「……阿部くんは」
「大丈夫」
ただ大丈夫とだけ言ったふっかさん。その言葉を信じるしかなかった。
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ぽぷら(プロフ) - とろろさん» お読みいただきありがとうございます！全て…！嬉しいです🥺小狐さんかわいいですよね、私も想像して癒されてます（笑）ぬいぐるみいいな〜！なんか不意に欲しくなる。後少しですがこれからもお楽しみいただければ嬉しいです！ (2022年7月5日 17時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 今までの作品全て大好きで繰り返し読んでいます。今回の子ギツネ康二くんがあまりにも可愛すぎて、白いキツネのぬいぐるみを買いました笑 めちゃくちゃどうでもいい報告をしてすみません。これからも更新、楽しみにしています。 (2022年6月23日 23時) (レス) @page50 id: f9c589a444 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 123456Yksさん» コメントありがとうございます！そして他の作品もおよみくださってるんですかね？嬉しいです、ありがとうございます☺️確かに何だか通じてますね、正直全く意識はしてなかったんですが、彼は幸せを運ぶって概念が似合うなぁと思いますね🌸 (2022年6月17日 23時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - めめ担さん» お読みいただきありがとうございます！彼の秘密や気持ちがどんどん明らかになってますね、これからもお楽しみいただければと思います☺️ (2022年6月17日 23時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
123456Yks(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。ずっと様々な作品拝見して楽しませて貰っています。今回「親友と彼と」の最後の佐久間さんのセリフが2D.2D.の配信ライブで泣きながら話していた内容に通じてるなと思い、凄いなぁと感動してコメントしました。続き楽しみにしてます。 (2022年6月17日 1時) (レス) id: d17dbff3aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月9日 0時
