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膝に顔を埋めた阿部くん。何かを我慢しているようだった、さっきの私みたいだった。どうしようもない感情を必死に忘れようと、目を背けようと。考えたくなくて放棄しようとしていたさっきの私。
どうすればいいのか分からない。でも、とにかく彼は辛いのだと。ふっかさんから聞いた事もだし、今現在の気落ちも。
私は彼にぴったりと体を寄せた。私が安心したかったのもあるし、少しでも阿部くんに安心してほしかった。今だけでも、一瞬だけでも。
すると彼は黙って私の肩に頭を乗せるように体重をかけた。幽体であるはずなのにちゃんと重みはあって、改めて不思議な世界線を見ているのだと思った。何も知らなきゃ、彼が事実上人間ではない事なんて分からない。
「……俺もずるいと思う、でも本能なのかな。俺を見てほしいって色々しちゃってた。自分が矛盾だらけで嫌になった。忘れないでなんて言って、覚悟決めてたのに。そもそも忘れないでなんて言うのも酷いよね、俺マジでなにやってんだろ……」
忘れないで
きっとそれはあの日の事。私が初めて阿部くんの儚くて消えてしまいそうな存在感に危機感を覚えた日で。そして、自分の中で彼への気持ちが何かに変わった日でもあると思う。
「離れたくないよ」
私だってそうだ。できることなら一緒に居たい。
「でも…もう生きる自信なんてないんだよ……」
でもそれを伝えることはできなかった。今の阿部くんはとっても弱弱しくて、すぐに壊れてしまいそうだったから。私が軽々しく何か言葉をかけることはできないと思った。でもそんな自分も嫌だった。そして次に彼が発した言葉で、私は何か声をかけなかったことを物凄く後悔することになる。
「分かってる…自分が全てをシャットアウトして生きてきたからこんな人生になったってこと…でも俺は…それを分かってても怖くて行動なんかしてこなかった、これからだってできないんだ……俺とAちゃんじゃ住む世界が違うんだ……」
阿部くんはそう言った瞬間に姿を消した。
「阿部くん……！」
私がハッとして辺りを見回しても遅かった。彼の姿はどこにもなくて、ただの私の部屋の光景が広がるだけ。
どうしよう、今度こそ阿部くんが消えてしまうかもしれない。私は何も伝えられなかった、沢山阿部くんに助けらたんだって、阿部くんと一緒にいる時間が楽しかったって。阿部くんとこれからも一緒に居たいって。
何も、言えなかった。
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ぽぷら(プロフ) - とろろさん» お読みいただきありがとうございます！全て…！嬉しいです🥺小狐さんかわいいですよね、私も想像して癒されてます（笑）ぬいぐるみいいな〜！なんか不意に欲しくなる。後少しですがこれからもお楽しみいただければ嬉しいです！ (2022年7月5日 17時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
とろろ(プロフ) - 今までの作品全て大好きで繰り返し読んでいます。今回の子ギツネ康二くんがあまりにも可愛すぎて、白いキツネのぬいぐるみを買いました笑 めちゃくちゃどうでもいい報告をしてすみません。これからも更新、楽しみにしています。 (2022年6月23日 23時) (レス) @page50 id: f9c589a444 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 123456Yksさん» コメントありがとうございます！そして他の作品もおよみくださってるんですかね？嬉しいです、ありがとうございます☺️確かに何だか通じてますね、正直全く意識はしてなかったんですが、彼は幸せを運ぶって概念が似合うなぁと思いますね🌸 (2022年6月17日 23時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - めめ担さん» お読みいただきありがとうございます！彼の秘密や気持ちがどんどん明らかになってますね、これからもお楽しみいただければと思います☺️ (2022年6月17日 23時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
123456Yks(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。ずっと様々な作品拝見して楽しませて貰っています。今回「親友と彼と」の最後の佐久間さんのセリフが2D.2D.の配信ライブで泣きながら話していた内容に通じてるなと思い、凄いなぁと感動してコメントしました。続き楽しみにしてます。 (2022年6月17日 1時) (レス) id: d17dbff3aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年6月9日 0時
