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「連れていきたいところがあるんだ」
「…え？」
「ここにおいでって言いたいんだけどね。俺を我儘にしたのはAちゃんだよ」
彼の手はさっきの川の水の冷たさに影響されて、まだ体温を取り戻していないみたいだ。冷たいそれは私の手をぎゅっと握っている。心配になるくらい冷たいまんま、でも不思議なのは全く嫌だという感情が湧いてこない事。むしろ、離さないでって。いや、離しちゃダメだって。
触れている手を見つめて、私はその手に力を込めた。
この手を離したら今度こそ、阿部くんが消えてしまう気がした。
「Aちゃん？」
「……えっ」
「どしたー？そろそろ行こっか、あっちにお花畑あるんだよ。ちょうど見ごろだと思うから行ってみようよ」
声をかけられた。いつの間にか手は離れていた。
阿部くんは不思議そうな顔で私を見つめた後、いつもの笑顔を向ける。
私は今…何を見ていた？
幻覚？夢？
「あ…うん」
「咲いたら見に来たいなーって思ってたんだよね！楽しみー」
歩き出した阿部くんの後を追う。木々に囲まれるこの空間を抜けて、さっき彼が言った通りの広場に花畑が広がる場所に出た。カラフルなお花たちにすごーいってニコニコしてる阿部くんは何だか可愛らしくて素敵だったんだけど、私はさっきの緑の中の消えてしまいそうなくらいに儚くて美しい彼の姿が頭から離れなくて。
気が付くと彼の手を見ていた。
どこかに行ってしまわないように、できることなら繋いでいたかった。
けどそんなことはできなくて、さっき私が見た彼の姿は彼自身の中には残っていなさそうだったから。本当に、夢でも見ていたのだろうか。
「似合うね」
「…ん？」
「Aちゃんお花が似合う。絵になってる。」
「えー…そんなことないよ」
「そんなことある」
ぼーっと彼の手を見つめていたらそんなことを言われる。目の前の花畑を見ると本当に見事なまでに立派に花びらを広げている子たちでいっぱい。さっき少し遠くで見た全体の風景もカラフルでとっても綺麗だったけど、近くで見た時に感じたのは一つ一つの生命力。力強ささえ感じる。
しゃがんで、目の前の一輪を眺める。ピンク色の可愛らしいお花だった。
「かわいいなぁ」
「Aちゃんも可愛いけどね」
……え？
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ぽぷら(プロフ) - まいさん» ぜひこれからもお読みいただければ！嬉しいご報告ありがとうございました！🙌 (2022年6月8日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます！ゴーストさんもお読みくださったんですね、とっても嬉しいです！ファンタジー作品が多めなので、どれかを見つけて気に入って下さった方はもしかしたら他にもお口に合うものがあるかもしれません☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - むったんさん» コメントありがとうございます！お返し遅くなってしまいすみません。次回更新で移行になりますので、是非そちらでも楽しんでいただけたらなと思います☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - いてとても驚きました笑これからも素敵なファンタジー作品を楽しみにしています いつも素敵な物語をありがとうございます (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - コメント失礼します以前作者様が書いていたハーフゴーストが大好きで、この作品、ハーフゴーストどちらもたまたま検索欄から見つけ夢中になっていました。そこでハーフゴーストを読み返していてこの作者様は他にどんなものを書いているのかなと見ていたらこの妖を書いて (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年5月16日 0時
