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「ねぇ…阿部くん……」
彼に縋ってしばらく呼吸を整えていた。その間彼は黙って背中をさすっていてくれた。そのおかげか時期に落ち着いてきて、少しだけ冷静になった私が思ったのはあの先輩の今までの事に関してだった。
「ん？」
「……妖怪のせいだよね？」
「え？」
「先輩が急に嫌な人になったのも…私の仕事取ったのも…妖怪のせいだよね？そうだよね！」
だって急過ぎたんだ。先輩があんなになってしまったのが。いつも優しくて、面倒見が良くて。確かに直接褒めることはしなくてもちゃんと私を見て周りにお手本にしなって伝えてくれていて…私を育ててくれたのは間違いなくあの先輩なのだ。
今になってそんな場面が一気に頭に流れてきた。やっぱりその姿が本当で、妖怪のせいでそれが狂ってしまっただけで。あいつがいなくなれば、先輩は元に戻るんじゃないかって。
「どうにかしてあいつを倒せば…また優しい先輩に戻るよね！！」
そうであってほしかった。やっぱり私はどこかで先輩を信じていた、いや、信じたかったみたいだ。
「……戻らないよ」
そんな必死な私に、驚くほど冷淡な声で返したのは目の前にいる彼だった。しばらく見ていなかったはずの、あの真っ黒な目をしていた。私がもう二度と見たくないと思った光の無い闇に埋もれた瞳。
「阿部くん…？」
「あいつがあの人に憑いたのはおそらくここ数時間の間だよ」
「でも…それだけじゃないかもしれないじゃん…！」
「違うよ」
その真っ黒な目を向けられた。さっきの妖怪に感じたものとはまた違った恐怖を感じた。嫌だ、そんなの。恐怖なんてもう、阿部くんから感じたくなかったのに。
「俺ずっと見てたから」
「見てた…？」
「Aちゃんと出会った時からずっと」
「……どういう、こと」
「毎日Aちゃんが家を出てここにつくまでずっと見てた。もちろん帰りも。仕事中だってたまにのぞいてたし、あのおっさんに付きまとわれてたのだって見てる。今日女の子とご飯食べてたのもね。それに伴ってあの先輩の存在だってずっと前から知ってだよ、見てたよ。あの人には妖怪なんて憑いていなかったよ。Aちゃんだってさっき初めて見たでしょ」
阿部くんの言っている事が分からなかった。でも自分の中で別の恐怖が大きくなったのは事実だった。だってそんなの…
ストーカーみたいじゃん……
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ぽぷら(プロフ) - まいさん» ぜひこれからもお読みいただければ！嬉しいご報告ありがとうございました！🙌 (2022年6月8日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます！ゴーストさんもお読みくださったんですね、とっても嬉しいです！ファンタジー作品が多めなので、どれかを見つけて気に入って下さった方はもしかしたら他にもお口に合うものがあるかもしれません☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - むったんさん» コメントありがとうございます！お返し遅くなってしまいすみません。次回更新で移行になりますので、是非そちらでも楽しんでいただけたらなと思います☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - いてとても驚きました笑これからも素敵なファンタジー作品を楽しみにしています いつも素敵な物語をありがとうございます (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - コメント失礼します以前作者様が書いていたハーフゴーストが大好きで、この作品、ハーフゴーストどちらもたまたま検索欄から見つけ夢中になっていました。そこでハーフゴーストを読み返していてこの作者様は他にどんなものを書いているのかなと見ていたらこの妖を書いて (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年5月16日 0時
