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何とかひと段落…と言っても今日に限っての話だけど。会社を出た私はいつもより遅い時間を指している時計を見てため息をつく。今日は特に疲れた。
お昼の同期の話を聞いたからか、やけに人肌恋しいというか誰かに労わってほしい欲が強くて。でも誰に労わってもらうって、別に恋人とかそういう関係に限らないだろうけどこういう時に気軽に連絡できる人なんて…
携帯の連絡先をばーっとスクロールして目に留まったのはあの人。
“ふっかさん、照くん派遣できたりしますか”
移動に関しては彼に甘えっぱなし。でもこうやって自らお願いするなんて初めての事だった。とりあえず近場で座れるところ…と思ったけど探す間もなく帰ってきた返信。
“多分もう向かってるわ”
えぇ。それは誰かからの指示なのか、それとも妖怪さんの不思議な力なのか。とりあえず照くんに話を聞いてもらって康二くんを思いっきりハグしてさっくんによしよししてもらおうって、珍しく遠慮せずにわがままな事を思う。
本当にほどなくして見えてきた黒い翼。私を見つけるとすぐに降りてくる。
「お呼びですか」
「チョコはもう買ってある」
「別になくてもいつでも来るって、ほら乗りな」
とは言いつつチョコを渡すと嬉しそうに目を細めるから。むしろ自分が渡したいまである。
「ちゃんと食ってる?」
「今日のお昼ちょっと奮発した」
「いいじゃん、でもまた軽くなった気がする」
「気のせいだよ」
照くんの大きな背中に身体を預けている時間、もうこんなに高い所で飛んでいるのも慣れてしまった。そして私が心地いいと感じるスピードで飛んでくれてるから毎度の事寝てしまいそうになる。特に最近は疲れ切っているから。
「寝てもいいけどすぐ着くよ」
「……照くん」
「ん」
「みんないる?」
「首長くして待ってるよ。特に、」
「康二くん?」
「と、阿部かな」
その返答がギリギリ聞こえて、私はやっぱり目を閉じる。みんないる、よかった。
「……ごめん、私いつもと違うと思う」
「そんなの見てれば分かるよ。でもいんじゃない、むしろその姿を見せてくれた方が俺ら全員安心だよ」
目を閉じてるけど空気感で分かる、多分もう森の中だ。もうあと少しで意識を失う所だけど、目を開けて久々に見る鳥居を視界に入れた。神社を見るだけで何だか癒される気もする。
「着くよ」
「うん」
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ぽぷら(プロフ) - まいさん» ぜひこれからもお読みいただければ!嬉しいご報告ありがとうございました!🙌 (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます!ゴーストさんもお読みくださったんですね、とっても嬉しいです!ファンタジー作品が多めなので、どれかを見つけて気に入って下さった方はもしかしたら他にもお口に合うものがあるかもしれません☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - むったんさん» コメントありがとうございます!お返し遅くなってしまいすみません。次回更新で移行になりますので、是非そちらでも楽しんでいただけたらなと思います☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - いてとても驚きました笑これからも素敵なファンタジー作品を楽しみにしています いつも素敵な物語をありがとうございます (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - コメント失礼します以前作者様が書いていたハーフゴーストが大好きで、この作品、ハーフゴーストどちらもたまたま検索欄から見つけ夢中になっていました。そこでハーフゴーストを読み返していてこの作者様は他にどんなものを書いているのかなと見ていたらこの妖を書いて (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2022年5月16日 0時