このままもっと ページ15
・
「深澤から彼女を取り戻したぞ！」
「今日は強かった…激戦やったな…」
「阿部ちゃん、後は任せたぞ」
「任せたぞ！」
「お前ら何なん、笑」
死んだふりをしてるふっかさんと、どこで覚えてきたのか無駄に演技力を発揮するさっくんと康二くんにひとしきり付き合った後、私は阿部くんと一緒に帰路に着く。
結局阿部くんは神社に戻ってきたらしい。3人の即興ドラマにケラケラ笑ってた。
「今日めっちゃ月綺麗だねー、よかったら少し散歩してかない？」
「うん、私もしたい」
ふと思ったのはみんな私を元気づけようとしてくれたのかなって。ずっと慰めてくれた妖怪達、親身に話を聞いてくれたふっかさん。ついさっきの事を振り返って自然と口角を上げていた。
「何か楽しそうだね？」
「ん？さっきの面白かったなーって」
「深澤に囚われたお姫様を助けにいく勇者達ね？」
「お姫様、笑」
どこのお姫様かは知らないけどそういう設定だったらしい。囚われていた時間もいい時間ではあったんだけど。ふっかさんが悪者扱いになって不憫だ。
「大丈夫？」
「ん？」
「照から少し聞いたの。だいぶしんどそうだったって」
あぁ、結局彼には心配させてばかりだな。こうやって月明かりの下で歩く時間は明るい話題よりも暗い話題の方が多い気がする。私はずっと何かにやられていて、そして阿部くんはそんな私をずっと心配している。
「ちょっと色々あってね。でもみんなが元気づけてくれたからさ、意外と平気」
「本当に？」
気持ちが軽くなったのは確か。さっきより体の軽さも全然違う。それは事実だ。でも明日のことを考えると少し億劫で、夜が明けなければいいのになって思ってしまっているのは嘘じゃない。彼のダメ押しの問いにそう考えてしまった。
「その間、平気じゃないでしょ」
「……うーん、そうかも」
「もう、隠してもいいことないよ」
そうかもしれない。さっきふっかさんに全てを話してスッキリしたなって実感したばかりなのに、私はまだ溜め込む癖が抜けていないみたいだ。
「このままずっとお散歩してたいなぁって」
でもまた最初から説明するまでもないかなって。だから今の気持ちを率直に、月を眺めながら呟いた。
帰って、お風呂入って、ベッドに入って。
そしてきっと私は朝を迎えて、いつもみたいに家を出る。
ずっとやってきたこと、ただそれが過去で一番嫌で。今更嫌になっちゃうかって、自分がとても気の毒に感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2495人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽぷら(プロフ) - まいさん» ぜひこれからもお読みいただければ！嬉しいご報告ありがとうございました！🙌 (2022年6月8日 22時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - まいさん» コメントありがとうございます！ゴーストさんもお読みくださったんですね、とっても嬉しいです！ファンタジー作品が多めなので、どれかを見つけて気に入って下さった方はもしかしたら他にもお口に合うものがあるかもしれません☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - むったんさん» コメントありがとうございます！お返し遅くなってしまいすみません。次回更新で移行になりますので、是非そちらでも楽しんでいただけたらなと思います☺️ (2022年6月8日 22時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - いてとても驚きました笑これからも素敵なファンタジー作品を楽しみにしています いつも素敵な物語をありがとうございます (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - コメント失礼します以前作者様が書いていたハーフゴーストが大好きで、この作品、ハーフゴーストどちらもたまたま検索欄から見つけ夢中になっていました。そこでハーフゴーストを読み返していてこの作者様は他にどんなものを書いているのかなと見ていたらこの妖を書いて (2022年5月27日 1時) (レス) id: 3478eff812 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽぷら
| 作成日時：2022年5月16日 0時
