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「あとね、俺もまだ一回しか見れてないんだけどさ。海に雪が降ってる景色がすっごい綺麗なの」
海じゃなくて私を見つめてそう言った。
見つめ合う私と亮平くんの間の空気だけが冷たくないような気がした。さっきから少しだけ吹いてる海風がこの間だけ通っていないように感じる。
「Aちゃん見たことある？」
「……ううん、ない」
「そっかぁ、ここ雪降らないからね。いつか見せてあげたいな」
大きい波を立てている海も、雨に打たれている海も、太陽に照らされてキラキラしてる海も見たことはある。けど、生まれてから小学3年生までの期間も含めて雪が降っている光景は一度も見たことがない。
ここの海なら全て知ってると思ってた。
でも私の知らない海があったんだ。
「今日は波の音が静かだね。ちょっと曇ってるからグレーに見える」
亮平くんは立ち上がってぐーっと伸びをする。そして座ったままの私を見下ろして、また優しい笑顔を見せた。
「明日の海はどんな海だろうね？」
明日の海。月曜日の海。
家から駅までの間に見るであろう海はどんな海なんだろうな。
「曇ってるから…雨が降るかな？」
「あーありえるね。冬の雨は冷たいから気をつけなきゃ。お仕事だよね？」
「うん。」
「あったかくして行ってね。まぁその前に今日の夕方ケーキ食べにくるの忘れないでよ？」
ぴょんっと防波堤から飛び降りた亮平くん。振り返って私の方を見る。
「そろそろお店開ける準備しなきゃ」
「あ、うん。頑張ってね？」
「ふふ、なんか幼く見えるね？」
「え？」
そうだ、そう言えば。私すっぴんだ。この前よりももっとすっぴん。しかもサンドイッチ食べてたからマスクを外していた。やばい、恥ずかしい。
「あ……えと……」
「可愛いよ？いつも可愛いけど」
亮平くんは急いでマスクをつけて俯く私にくすりと笑うと、風で乱れた前髪をサラッと分けて私を見上げた。
「またね！」
その一言だけを残して去っていった彼。夕方に会うだろうからその言葉は合っているんだけど。
何故か不思議な違和感？これじゃない感？を感じて彼の背中を目で追いかける。何だかこの変な感じ、正解もわからないけど違うと思うのはなぜ？
「……さむっ」
強い風が吹いて身を震わす。すっかり冷えてしまったお茶とサンドイッチのゴミを袋に入れて、私は家へと戻った。
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ぽぷら(プロフ) - takkimakkiさん» コメントありがとうございます！お返しがかなり遅れてしまった事をお許しください💦大切に読んでくださったみたいで嬉しいです。Twitterの方も楽しんでいただけてるかな?お付き合いいただきありがとうございました！ (7月14日 1時) (
レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 颯楓さん» いえいえ！とっても嬉しいです、ありがとうございます。そしてかなり遅れてのお返しになってしまいすみません💦とても感情移入しながら読んでいただいたんだなと思います、お付き合い頂きありがとうございました(^^) (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます！一年以上の時差でのお返しにになってしまったことをお許しください💦お付き合い頂きありがとうございました！ (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - 初めて、ぽぷらさんのお話に出会えたのがこの作品でした。世界観に引き込まれて、桃色さんとのやり取りに苦しくなったり、緑色さんとのやり取りにギュンとしたり。とにかくステキでした。他の作品も読ませていただきます。Twitterもフォロリクさせていただきました！ (2023年1月9日 4時) (レス) id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
颯楓(プロフ) - 同じ日に別の作品にそれぞれコメントしてしまってすみません、あの、こちらの作品の世界観もよすぎてこの感動を伝えずにはいられませんでした,,,！桃さんとの間にけじめをつけるシーンがもう読んでいて泣きそうになってました,,,ありがとうございます！！！ (2022年3月23日 4時) (レス) @page48 id: 263fa867c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぷら
| 作成日時：2021年11月27日 18時
