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「初恋…なの?」
「うん。3年生の冬休みで遊びにきて、あの日が1日目だった。海が見たくて走ってここにきたらAちゃんがいた」
「話しかけてくれた…んだっけ?」
「そこは覚えてないの?笑」
「17年前だもん、曖昧なの」
「小3なんてさ?まだまだ子供じゃん。でも女の子がいるのが見えた瞬間に、後ろ姿なのになんだかドキドキしちゃって。すごい勇気振り絞って話しかけたの覚えてる」
「なんて?」
「隣に座っていい?って」
今、きっと全く同じ場所で。
海の目の前の防波堤に2人。
見つめ合ってるお互いの瞳にはお互いの顔が写っている。
「そしたら?」
「ねぇ全然覚えてないじゃん!笑」
「さっきの景色がぼんやりとあるだけなの。亮平くんが私にまたねって言ってくれた」
「いいよって言ってくれたよ。今よりちょっと距離はあったけどね」
そう言ってさらに体を寄せた。もう隙間なんて無いのに自分の体を押し付けるように。片側だけがすごくあったかくて、たけど反対側も寒さを感じないのはドキドキしているからなのかな。
「ここに住んでるの?って聞いて。そしたら今日引っ越すって、寂しいなぁってさ。なんかそれがずっと忘れられなくて。おませな男子だったよね、可愛いなって思ってたよ。少し大きくなってまぁ告白されたり?周りが恋バナとかし出した時にその事思い出すの。だからきっと俺の初恋はあの時なんだなぁって」
「17年も…?」
「うーん、引きずってたわけじゃ無いんだけど。彼女作ったこともあったし告白をOKしたこともあったよ。その時はその時でちゃんと恋愛してたけどさ、ここに戻ってきてAちゃんと会ったらすぐに気持ちが蘇ってきちゃった」
「私だってすぐ気づいたの?」
「確信したのはここでノート開いてるのを見た時」
「え…それ」
彼が取り出したのは私が日記を書いてるのと同じノートだった。でも色褪せていて、古びていて。
「Aちゃんさ、これ落としてったんだよ」
「え?」
「俺がまたねって言って。そしたら向こうから誰かに呼ばれて急いで走っていった。そしたら下げてたバックからこれが落ちて、追いかけようと思ったけど見失っちゃって」
そのノートをめくる。するとひらがなばかりの拙い字が並んでいる。鉛筆だから消えかけているところもちらほら。
「じゃあそれ…私の日記?」
「そう。だからあの子だって俺は気づいたんだよ」
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ぽぷら(プロフ) - takkimakkiさん» コメントありがとうございます!お返しがかなり遅れてしまった事をお許しください💦大切に読んでくださったみたいで嬉しいです。Twitterの方も楽しんでいただけてるかな?お付き合いいただきありがとうございました! (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - 颯楓さん» いえいえ!とっても嬉しいです、ありがとうございます。そしてかなり遅れてのお返しになってしまいすみません💦とても感情移入しながら読んでいただいたんだなと思います、お付き合い頂きありがとうございました(^^) (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます!一年以上の時差でのお返しにになってしまったことをお許しください💦お付き合い頂きありがとうございました! (7月14日 1時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - 初めて、ぽぷらさんのお話に出会えたのがこの作品でした。世界観に引き込まれて、桃色さんとのやり取りに苦しくなったり、緑色さんとのやり取りにギュンとしたり。とにかくステキでした。他の作品も読ませていただきます。Twitterもフォロリクさせていただきました! (2023年1月9日 4時) (レス) id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
颯楓(プロフ) - 同じ日に別の作品にそれぞれコメントしてしまってすみません、あの、こちらの作品の世界観もよすぎてこの感動を伝えずにはいられませんでした,,,!桃さんとの間にけじめをつけるシーンがもう読んでいて泣きそうになってました,,,ありがとうございます!!! (2022年3月23日 4時) (レス) @page48 id: 263fa867c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年11月27日 18時