君の日記と冬の海 2

こんな事しないよ ページ17

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「潮田さん、何か顔色悪いけど大丈夫？」

「……え、そうですか？」



昨日私が2人と飲みに行ったことは知られているから休んだりしたらあからさますぎて恥ずかしい。そう思ってさまざまな原因から来てるであろうダルさを必死に誤魔化して会社に来たのに。

周りの人にこんな事を言われる始末。



「もはや真っ青だよ。体調悪い？」

「いやー、そんなことないですけどね」

「いやそんなことあるでしょ」


なんて事ないように振る舞うけど相当酷い顔をしているのか会う人会う人に心配され。昨日私を定時より早く返してくれた上司が見かねて早退してとのお達しを。


「なんかすみません……」

「昨日遅かったの？」

「あ、いえ。昨日は全然、むしろ早く寝たくらいなんですけど」

「環境が変わって知らないうちに疲れてるのかもね。気にせず休んで」


ここまで来たら認めざるを得ないくらいなのに謎のプライドで早く寝たなんて嘘をつく。それでも心配そうな顔をして送り出してくれた上司に罪悪感。

まだ昼前。出社して2時間しか経ってない。

こんなんじゃダメだなぁと肩を落としながら会社を出て駅に向かう。帰ってちゃんと寝よう。


深澤辰哉無事かー?仕事できてる?


電車を待っている時に震えた携帯を開くとふっかからのLINE。ふっかもたぶん心配してくれてるんだろうな。


潮田Aひどい顔してるらしくて強制的に早退させられた
深澤辰哉まじかよ、でも出社したんだ
深澤辰哉着いたら連絡しろって言ったのに無かった時点で無事じゃないのは察したけどな
潮田Aあー、そんなこと言ってたね。
深澤辰哉まぁ岩本さんに色々聞いてみな


ふっかの察し具合は本当に怖いくらいだな。
苦笑いをしながらやってきた電車に乗り込んだ。

あまり乗ることのない時間の電車からの眺めは新鮮だった。通勤、通学と被らない午前中の車両内は空いている。


何故か地元に着くまで眠くなることはなくただぼーっと電車に揺られていた。いや、ぼーっとしてる中でも色々とぐるぐる考えていた。

明るいうちに帰ってくるなんていつぶりだろう。私しか降りた人はいなくて、人気のないホームを改札に向かって歩いて行く。


お腹すいたな。そうだ、私今日何も食べてない。


スーパー寄って適当なもの買ってから帰ろうか。私は昨日支えられながら歩いた道を、1人でとぼとぼと歩き始めた。

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