君の日記と冬の海

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元々お酒が弱くて、さらにコーヒーとかお茶とかちょっと苦味があるものは得意じゃない佐久間。そんな彼が甘さがある梅酒とはいえロックを飲んでいるなんて。


「うわー、酒」

「いやそりゃそうでしょ」

「俺なんか強くなった気ぃすんだよね」

「そんな大学生みたいな調子の乗り方しないでよ」


もうすでに顔が赤い。まだ喋れているから大丈夫だとは思うけど決して強くなったわけでは無いと思う。私がこっちにいた時は俺弱いからさってちゃんとセーブしてたのに、どうしたもんか。


「トイレ行ってくるわ」


そう言って立ち上がった彼の足取りはまだいつも通りではあったけど。心配になった私はこの隙にお水を頼んだ。



ラウールサプライズ大成功〜!✌️


チラッと携帯を見るとラウールくんからの写真付きメッセージが。ケーキを前にプレゼントを抱えた亮平くんが照れ臭そうに笑ってる写真だった。

その中には私のプレゼントも。


ラウールAさんからのプレゼントが一番嬉しそうだったよ〜😆


その写真を見て思わず顔を綻ばせていたら追加でくるそんなメッセージ。一番だなんてそんなことはないと思うけど、とりあえず喜んでくれたなら安心だ。後でちゃんとおめでとうって言わなきゃ。


潮田Aよかった!渡してくれてありがとう!


きっと今頃宮舘さんの美味しい料理とケーキでパーティーしてるんだろうな。


「何ニヤニヤしてんの？」

「え、あ…おかえり」


ラウールくんに返事を返して顔を上げると佐久間がまた梅酒を傾けながらこっちを見ていた。


「いや別に…」

「その"友達"から？」

「え？」


佐久間は何だか笑みを浮かべて、目を細めて私を見つめる。見たことない表情にヒヤリとした。


「違うけど…」

「けど？」

「いや友達だよ、別の」


うん、間違ってはいない。今連絡したのはラウールくんだ。友達…うん、高校生だろうが友達だ。


「あ、そういや。照が最近彼女できたらしいよ〜」

「え、そうなの？」

「こないだ飲みに行ったら惚気るのなんの」

「へぇ…おめでたいじゃん」

「俺も惚気てぇー」

「別に聞くけど」

「相手いねぇよ」


鼻で笑いながらお酒を流し込み続ける佐久間。私が知らない間に人が変わってしまったのだろうか。同期会で楽しそうに笑いながら話す佐久間とは違ってずっとこんな感じ。

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