音と笑顔の魔法使い

・ ページ41

・


「ではその様子を再現してみましょう！」

《ストームディフューザー起動。爆発まで20秒 19 18 17 16 15…》

　
いよいよあの有名なシーンだ。カウントダウンがされる中、アベさんは止まることなく説明をし続ける。そしてカウントダウンが0に迫って……



バーン！


「みなさーん大丈夫ですかー？」


周りを見ながらニコニコとゲストさんに手を振るアベさん。何だかその姿が可愛らしくてこれはファンになっちゃうなって思った。私と佐久間くんも手を振っているとまた目を合わせてからグッとグーサインをしてくれた。


「まぁ、実際の爆発は大したことありません。これの100万倍くらいですかねぇ〜」


少しおどけて言うアベさんにあははとゲストが笑う。最初は少し恥ずかしがってたのにな、もう笑いを誘うのもお手の物。



「それでは間もなくご搭乗になります」


いよいよアトラクションのスタンバイだ。佐久間くんと目を合わせて笑った。アベさんが注意事項を説明してるのを聞きながらワクワクする気持ちを膨らませる。



「おっと、今日お誕生日の方がいらっしゃいますね！あぁ、キャプテンデイビスとご一緒で……もしかするとデイビスが無茶をするかもしれません…お連れの貴方、もしもの時は彼女を守ってあげてくださいね？どうぞご無事で……ではいってらっしゃい！素敵なバースデーフライトを！」

「うわぁ……！」



そんなアナウンスは間違いなく私と佐久間くんに向けられていた。一瞬だけ“阿部ちゃん”の優しい笑顔を見せた彼はウインクをしてグっ！とサインを向けた。



「くぅー！なんだよあの研究員さんめっちゃイケメンじゃねーか！」

「あはは！さすが人気研究員さん」

「くそーいつも勝てないなー」



佐久間くんはそう言いながらもアベさんにグーサインを返した。任せろ！って笑った佐久間くんにアベさんはまた笑顔を見せて見送ってくれた。


アトラクションは言わずもがなとっても楽しくて。そもそもジェットコースターだったりライド系の乗り物が大好きな私は思いっきりはしゃいで楽しんだ。

降りた後佐久間くんもすげー！楽しかったー！と喜んでいて、自然と目を合わせて笑い合う瞬間がとっても幸せだと感じた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す