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「真帆とは高校からの付き合いで、大学生になってからもよく一緒にお昼を食べたりしてたんです。でも最近明らかに真帆の様子がおかしくて…いつも上の空で泣きそうな顔してて」
「それはいつから?」
「4年になってからすぐです。どんどん弱っていくような感じで…」
この由奈ちゃんの親友で理工学部生らしい笹野真帆ちゃん。写真を見せてもらうと明るい表情で由奈ちゃんと楽しそうにピースをしていた。とても仲が良さそうで2人は親友なんだなと分かるような写真だった。
「真帆、いつも明るくて元気な子だったんですけどそんなのが嘘みたいに目が虚ろなんです。どうしたのって聞いても何が?ってはぐらかされて。それで最近、特に元気が無い日がゼミがあると言っている日なのに気が付いたんです。だから、ゼミで何かあったんじゃないかって思って」
「それで…研究室に?」
「はい、真帆の後付いていって…でも研究室には誰もいませんでした」
誰もいなかった?高梨さんから聞いた話だと研究室で変な声が聞こえたって。
「その、おかしいと思って研究棟を歩き回ってたら…下の階の奥の資料室からなんか声が聞こえて……直接見たわけではないんですけど……その……」
「うん、無理して言わなくていいよ。分かった」
由奈ちゃんは俯いて口ごもる。親友かもしれない子のそんな声を聞いてしまうなんて、しかも大学で。その子の様子がおかしいならそりゃ心配だろうし怖いだろうし。
「ただ…その井上教授らしき人の声は聞こえたんです。だから…真帆が変な事されてるんじゃないかって……」
「そっか。真帆さんは何も言わないんだもんね?」
「はい…今日もお昼一緒に食べたんですけど、半分以上残してたし。やっぱり上の空で」
「真帆さんとは今日はもう会う予定はないんだ?」
「はい。ゼミ終わったら遊びに行こうとか誘っても必ず断るし、終わったであろう時間に連絡をしても絶対返ってこないんです。返信が来ても次の日のお昼とかで」
由奈ちゃんは今にも泣きそうだ。心では真帆を助けたいと叫んでいる。正直、こんなことを思ってる場合ではないんだけど羨ましいと思ってしまう。
こんなに想ってくれる友達がいることに。
想い合える友達がいることに。
「話してくれてありがとう」
そんなことを思いながら由奈ちゃんを見ていると、阿部さんがテーブルの下で私の手を握った。
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ぽぷら(プロフ) - onceさん» お読みいただき、そして温かい応援のメッセージありがとうございます(^^)頑張ります! (2021年8月2日 15時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
once - すごく面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月31日 14時) (レス) id: d9ffc008c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - はちの玉雪さん» ただいま帰りました!!笑 いやーお待たせいたしました。7人の探偵さん達をどうぞよろしくお願いします。笑 (2021年7月23日 13時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
ぽぷら(プロフ) - みーさん» お読みいただきありがとうございます!!さぁ、それが今後どうなっていくのか…笑 私もどうなるのか分かりません!笑 (2021年7月23日 13時) (レス) id: 0e689a64ff (このIDを非表示/違反報告)
はちの玉雪(プロフ) - おかえりなさいませ、「キミを持っている」の心境でお待ちしておりました(笑) これからの展開を、楽しみにしております。 (2021年7月22日 20時) (レス) id: ef0b5894b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぷら | 作成日時:2021年7月13日 22時