アイドルの恋愛事情。

▼連綿に似ている 瀬名泉 ※閲覧注意 ページ46

※前のお話の世界線｡


“異常よ”

なるくんの言葉が頭から離れなかった｡
まだ､なるくんにも他を異常だと言える理性はあるのだと､少し安心してしまう｡まぁ､なるくんがそれを言える立場なのかって考えると､微妙なのだけれど｡俺からしたら､Aとくまくん､なるくんとれおくんとかさくん､みんなみんな異常だと思う｡

懲りずにやらかすくまくんに､愛しているからと容赦なく手を出す束縛の酷いAも｡
Aからの可笑しいくらいの愛情の虜になって､それが欲しいからってわざと浮気を繰り返すくまくんも｡
Aとくまくんの生活を盗聴して監視して､何処かの恋する少女のように甘い妄言を吐き散らすなるくんも｡
Aの狂った言動に心底惚れ込んで､Aの物を無断に取ったり､逆に自分の私物を送り付けたりするれおくんも｡
A殴られたくて酷くされたくてしょうがなくて､Aを付け回すかさくんも｡

みんな可笑しいのだ｡
狂っている｡誰がどう見たって､そう感じるだろう｡あぁ､いつからそうなったんだろうか｡学生の頃は､決してこんなふうじゃなかったのに｡Knightsとして､アイドルとして､活動をする俺達と､専属のプロデューサーとして支えてくれていたA｡六人で､頑張っていたっていうのに｡大した問題など無かったはずだ｡平和に､切磋琢磨していたはずだ｡どうしてだろう｡いつから俺達は変わってしまったのだろう｡

みんな､Aの事が好きなだけだった｡


俺達五人全員､彼奴が好きなだけだった｡なのに､Aがくまくんを選んでしまうから｡俺よりも､くまくんを選んだから｡元はと言えば､Aが､俺以外を必要としたからいけないのだ｡俺と付き合ってたら､こんな事にならなかったのに｡Aが､あの細っこい手を振り下ろすなんてことは無かったのに｡

俺が､くまくんはあんずと浮気してるって教えてあげた時に､考え直すべきだったんだ｡…まぁ､あれは嘘だったんだけど｡なのに､彼奴ってば優しいからまだくまくんの面倒見てあげてるし｡あの時､くまくんなんて捨てちゃえば良かったのに｡素直に､俺のところに来てくれれば良かったのに｡本当､昔から俺のことが好きなくせに素直じゃないんだから｡しょうがなく手が掛かる女だよ､全く｡でも俺の気持ちを試してるんだよね？どうしようもなく欲しがりだなぁAは｡でもそんなところが好きだよ｡それくらい愛に貪欲なAが好き｡




次こそはちゃんとくまくんを見捨てられるように､特大の作戦考えるからねぇ｡……A♪

△作者より ※続編のお知らせ→←▼花に埋もれて死んでいく僕ら Knights ※閲覧注意

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