傷口にメイプルシロップ ページ17
3年間付き合って、結婚まで考えている彼氏がいた。
その彼氏が1ヶ月前にに浮気していることが発覚した。「早く会いたい」という一言にハートマークが3つもついているメッセージがスマホに浮かび上がってきているなんてただ事じゃない。
問いただしてみると、そういうことで「別れてほしい」と言われてしまった。
「で、なに?すんなり受け入れたの?」
涼しい顔した斎藤がアイスコーヒーのグラスを手に取る。カラン、となる氷の音がますます斎藤の涼しい顔を引き立てる。
「受け入れた……だって別れたいっていう時点で私に気持ちなんてないでしょ。」
ふーん、と頬杖をついて視線を横に流す。
男友達の中でも唯一と言っていいほど、心を開ける相手が斎藤だ。
途中で口を挟まず聞いてくれるし、変に上から目線のアドバイスもしない。こんなふうに話を聞いてくれるだけの友達なんてなかなかいない。
「結構本気で考えてたのに、あいつは違ったみたい。
もしそこで謝ってくれてたら許してたかもしれない。けどあの人にとったら私よりも相手のこの方が本命だったんだよ。」
話してるだけで目頭が熱くなる。人の多いこんなカフェで泣くなんて絶対嫌だけどこれ以上話してしまうと零れていく。
「泣きたいなら泣けば、って言いたいけどここじゃ無理だな。」
「泣かないよ、絶対。」
ぐっ、と堪えるように下唇を噛むと目の前の斎藤がふ、っと口元を緩めた。
「……何笑ってるの?」
じとり、と斎藤を睨むといや、ごめんと優しく笑う。
「Aのそういうとこいいと思うよ。」
「どういうとこよ。」
「我慢強いところ。とか自分をちゃんと持ってるところ。
そこら辺の女の子と違って好きだなぁと思うよ。」
いつもよりも斎藤が優しい。
厳しい言葉こそ言われたことないけど、こんなに優しい言葉もかけたりはしない。
「……ありがとう。」
「俺は別れて正解だと思うよ。
浮気する時点で正直この先未来はないと思う。
謝られたとしてもそういう奴は絶対また浮気するよ。許された、って思ってまた絶対次の相手探す。
だからAは別れて正解だったんだよ。」
恋愛経験豊富なのか、身近にそういう人間がいるのか。
でも、斎藤からはそんな話はあまり聞かない。
「斎藤、最近浮気されたの?それとも浮気した?」
その言葉にゴホゴホっと斎藤はむせる。
なんで!?とちょっと強めに聞き返す。
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時