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よっぽどにやけてしまっていたんだろう。
眉を下げていた斎藤さんもふっ、口元を緩め笑った。
「こんなこと言うつもりなかったのに。
あまりにもあの同級生Aちゃんが仲良さそうだったしなんなら綺麗になっただなんて言われて。
……年甲斐もなく嫉妬なんかして情けないよ。」
「デレッデレの斎藤さん、可愛かったですよ。」
「やめなさい、あんなにガッチガチに固まってたくせに。」
彼が目にかかった前髪を指先ではらった。
普段は私より随分大人で、全てを受け止めてくれる斎藤さんが今はなんだか少年のようにみえて本当に可愛い。
「宏介さん。」
一瞬ピクリ、と体を揺らし顔を斜め下に向けたまま上目遣いで私を見る。
あ、やっぱりこの人はかっこいいな。
その色っぽい目に心拍数が上がっていく。
「宏介さんが1番好きです。私には宏介さんしか見えません。」
言い終わる頃には宏介さんの手が後頭部に回され、伏し目がちの彼が近づいて来ていた。
いつも優しいキスも今日は噛み付くように重ねられる。彼の薄い唇が何度も何度も角度を変えて触れる。
最後に下唇を軽く噛まれ、ちゅっと音を立ててもう一度唇にキスをする。
「俺も。」
「宏介さんのデレてる姿、また見せてください。」
「もうダメです。見せません。」
ソファの隣で座って映画を見ている宏介さんはもういつもの宏介さんだった。ビールの入ったグラスを片手に視線はテレビを見つめている。
私側の手が空いているのを見て、そっと手を重ねる。
それにすぐ気づいて指を絡めて握り返してくれる。
「本日のデレは終了致しました。
また明日以降にしてください。」
片方の口角をあげて笑う宏介さんにまたドキドキしてしまう。
【本日のデレは終了致しました。】
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デレる斎藤さんってどんな感じなんでしょう。
普段嫉妬もしなさそうな彼が彼女にヤキモチを妬くところを見てみたいです。
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裕(プロフ) - 夕凪さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいお言葉に励まされました。夕凪様の小説も読ませて頂きたいと思います。そして続編、少しずつですが書いていこうと思いますのでまたよろしくお願いします。 (2020年4月8日 18時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - はじめまして、こんにちは。小説通して、とても楽しませて頂きました。わたしも勝手ながら夢小説を書いているのですが、情景・心理描写など参考になる部分が多々ありました。ひとときの夢をありがとうございます。もし可能でしたら…続きを楽しみにしています。 (2020年4月8日 14時) (レス) id: e6f9b067c6 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!私の中の斎藤さんイメージで書いているので自身は楽しく書かせていただいております。楽しんで頂けてとても嬉しいです。これからも頑張ります! (2020年4月2日 20時) (レス) id: af8940d8bd (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 第一話から拝見させて頂いてます。色っぽくてドキドキする展開にいつもときめいており、更新されてるとわくわくしながら読んでいる自分がいます。これからも応援させて頂きます、頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: e30a93ed77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:裕 悠 | 作成日時:2020年3月27日 11時