緊急事態 ページ7
「絶対金曜日遊びに行くからな」
「だからね？」
「拒否権はあらへん!!」
どうやら拒否権が無いらしい
出来れば行きたくないのだが
ここまで来たら渋谷は折れないだろう
会社前のベンチにいつまでも居られたら困るし
私が折れるしかないようだ
「分かったよ、金曜日にね？」
「やっっと分かったか。
あ、迎えに行くから終わる時連絡してや」
「いや目立つからせめて待ち合わせ場所…」
「迎 え に 行 く か ら な ？」
「…はいはい」
迎えに来られても困るのだが
ここで駄々こねられた方が更に困る
嫌だがコイツに合わせるしかないようだ
「なら今日は駅まで送ったるわ」
「は？いや別に…」
「ハイハイ、文句言わずに行こうなぁ」
ニコニコしながら私の手を握り締める渋谷は
妙な威圧感がある。手を振り解こうと抵抗しても
更に強く握られた、こりゃあダメだ
もう流されるしかない。週刊誌の人に撮られない事を願うとしよう。
…いや本当に週刊誌に載らないといいな
「…そういやA、会社大丈夫なんか？
この間何か色々言っとったけど」
どうやら自分が酔っ払って愚痴をこぼした事を
心配しているらしい、こういう所は優しいのに何故普段はあんな子供みたいなんだ。君は。
「まぁ大丈夫。こればっかりは仕方ないかって
思うし上手くやってるつもり」
「そうか、まぁ何かあれば相談しぃや」
私が深く話さなかったせいか
これ以上首を突っ込むつもりは無いようだ
正直その対応は自分にとって有難い。
渋谷の対応に密かに感謝してると、前からジッとこちらを見ている人がいた。
…道のド真ん中で見てるとか怖いんだけど
通行の邪魔じゃん、あの人
いや待てよ
こちらを見てるってことは…
もしやまさかの週刊誌か？
渋谷も流石に何か思ったのか、そっと私の手を離した
「…何ですか」
渋谷の低い声が聞こえる
本来ならスルーするんだろうけど
流石に道の真ん中で立ち止まり、こちらを見つめていたら話しかけるしかない
『あ、すみません。いや渋谷すばるさんですよね？
私、〇〇週刊誌の…』
わぁぁい!!今後の私の人生に関わる事が出来たぞ
多分これ巻き込まれてるよね？
世間でいうフラグ回収ってやつじゃん
私でも分かるよ？若い子の言葉そんなに知らないけど
「あ、そーですか。行くぞ」
「え!?」
まさかの対応に驚き、戸惑う私の手を渋谷は握った
いやその対応はまずいのでは？
『渋谷さん、そちらの方は…』
ほら食いついてきたじゃん
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作者名：モブK | 作成日時：2015年12月13日 9時
