会いたくなかった ページ2
そんな夢の為に忙しいと勝手に思っていた私は、本当に来たアイツに驚きが隠せない。だって海外？に居るとか何とか言われてたじゃん。あれ違った？
「まぁ確かにな。でも今は出とらんやろ」
「いや確かにそうだけどさ…
てかあんた海外にいるかと思ったわ」
ここは直接疑問をぶつけてみるとしよう
「あー帰ってきたばかりや、ホンマ勉強なった」
なるほど帰国してきたばかりと…いや随分ハードな生活してるな。そう思いながら、夢中で話をしてくるアイツは間違いなく昔から何も変わってないだろう。てか段々とあの渋谷すばるだと気付いた女性陣が私を睨んでくるのでいい加減離れたい。仕方ない、ここから適当に理由つけて離れるとしよう、もう会うことも無いだろうし
「そう、良かったじゃん。
それよりアンタに話しかけたい人居るみたいだよ」
「あ？…うわｯ…ホンマや」
そんな誰から見ても分かりそうな嫌な顔を私にされても困るのだが。お前元はアイドルだろ？頑張れよ
「ほら早く行きなよ
私も久しぶりに友達と話したいし」
「…A、この後時間あるか？」
「え？あ、まぁあるけど…」
「なら同窓会終わったら、ここで待ち合わせな」
ポケットから紙を取り出し、スラスラと何かを書き始める渋谷についていけず、眺めていると書き終わったのかそのメモを私に押し付ける。急すぎる行動に返事出来ずにいると
「絶対来いよ、待っとるからな」
余裕ありげな笑みを浮かべ
渋谷すばるという男は私から離れた
これだから嫌なのだ
何でも思い通りになると考えてそうなアイツの顔を見るのは。何も変わって無さすぎて嫌になる。
それにしても、テレビやネットで渋谷すばるという男を見る度に、もう終わったはずの青春が私の中で蘇るような気がしていたが本人と対面すると、その思いは更に強くなった。本当にあの頃に戻った気分
…いや辞めよう、もう終わった話でこの歳になって流石にそれは無い。アイツとは今日限り。住んでる世界が違うのだから今日会えただけでも奇跡だろう。もうアイツに対して余計な感情は抱きたくない
もうアイツに対する考えはやめて、一旦友人達と会おう。それがいい。
楽しげに話してる当時の友人達に会いに行こうと私は一歩足を踏み出した。
＿＿こうなるから会いたくなかったのに
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作者名：モブK | 作成日時：2015年12月13日 9時
