君の音色 *1 ページ40
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ノンリアル
Side F
Ki「やまないね」
2人で入る傘の中、雨音に負けそうなほど小さな声が響く。
踏み出した先の地面を見つめてどことなく嬉しそうに呟く北山の横顔を何度盗み見ただろう。
ほんの少し離れて歩く北山の肩が濡れないようにそっと傘を傾ける。
F「明日も雨だって」
Ki「そっか」
さっきより近づいた距離。
大きな目で俺を見つめる君はなにを考えている?
明日の天気を知ったところで北山は傘なんて持ってこないんだろう。
だけどそれでいい。北山が何を思っていたって、何も思っていなくたって、狭い傘に北山の声が響く空間を知っているのは俺だけだ。
学校の行き帰り、片道たった20分だけの2人の空間。
いつからだったかなんて覚えていないけど、ランドセルを背負っていた頃から8年以上、雨の日は必ず一緒。
Ki『たいすけー、傘忘れたから入れてー』
最初はその一言からだった。
Ki『たいすけ、今日もよろしく』
F『いい加減天気予報見てこいよ』
Ki『だって、傘持ってなかったら一緒に帰れるじゃん』
その言葉がやけに傘の中に反響して聞こえた、何回目かの雨の日。
その日から、傘の中で聞く北山の声は俺にとって特別なものに変わり、お互い何も言わずとも雨の日は一緒にいるようになった。
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なこ(プロフ) - あこさん» コメントありがとうございます!なんて嬉しいお言葉、、私の中の根本はKさんかわいく、Fさんがかっこいいなので、そう思ってくださってすごく嬉しいです! (2021年7月28日 17時) (レス) id: 9cb1f5d1b0 (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - どのお話のFKもKさんがかわいくてFさんがかっこよくて読んでる間ずっとしあわせでした。。これからもなこさんのFKをもっと読ませていただきたいです!次の更新も楽しみにしております!!!! (2021年7月28日 11時) (レス) id: 62cdbec8f3 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - aaaさん» コメントありがとうございます!そうなんです…私の中でのFさんはすごく計画的サプライズの達人なんですよね…!それに対する鈍感Kさんがまたかわいい、って思っちゃいますよね。 (2021年1月9日 10時) (レス) id: 9cb1f5d1b0 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - うわぁ…引っ越す区まで考えてのサプライズとプロポーズ、素敵ですね。区?って一緒にKくんとぽかん?ってなった後じわじわ喜びが込み上げてきました。甘いFKさん大好物です。更新楽しみです! (2021年1月9日 5時) (レス) id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なこ | 作成日時:2020年10月18日 16時