好きをあなたに

めりくり！ *2 ページ17

.


店内は落ち着いた照明と、アンティーク調のインテリアで、こんな所に来ることのない俺はきょろきょろしてしまう。




F「ふふ、北山、こっち」




慣れた様子で奥へと進む藤ヶ谷。
6席ほどあるカウンターを抜けた先にある個室へと案内された。




K「なんか、緊張する…」


F「俺しかいないから気にしなくて大丈夫だよ」




そう微笑む藤ヶ谷は本当にかっこいい。
それとは対照に、いい年をして慣れていない自分に少し恥ずかしくなった。




そんなことを口にすればきっと「そんな北山もかわいいよ」なんて言われるんだろうけど。




店員が運んできたおしゃれなシャンパンのグラスを合わせると、カチンと控えめな音が個室に響いた。



藤ヶ谷が予約してくれていたコースの料理はどれも美味しく、緊張も次第に溶け、藤ヶ谷との少し非日常な空間を楽しめた。





F「北山、デザートもあるよ？食べられる？」


K「んー、ちょっとお腹いっぱいかも」


F「そっか、じゃあ持って帰れるように包んでもらおう。あとで食べようね」


K「そんなことできんの？」


F「北山が食べれないことを見越してオーナーに頼んでおいたの(笑)」





そう言って綺麗に目を細める藤ヶ谷は、俺のことはなんでもお見通しらしい。




K「…ありがと」




恥ずかしくて小さな声しか出なかったけど藤ヶ谷には届いたみたいで、また綺麗な顔で笑ってくれた。


.

めりくり！ *3→←めりくり！ *1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す