さんかくと仲良くなったら。【斑鳩三角】

２１ﾟ ページ21

．




しばらくして玄関のほうから賑やかな声が聞こえた




「あ、みんな帰ってきたみたい」





みんな、とは。




いづみさんがガタリと立ち上がると隣にいた少年は「あっ」といずみさんに手を伸ばす




が、何故かその手を引っ込めて私をガン見し始める





えっ怖い




「……なぁアンタ」




「は、い」




「彼女、なの」




「はい？」




主語、主語をくれ





「あ、三角くんと？」



「ん、」



コクリと頷く彼。当たりみたいだ




「付き合ってないよ、まだあって二回目だし」



「……そうなの」



「うん」



「二回しかあってないけどオレとAはなかよし！」



「……見れば分かる。」





俺も監督と、とボソボソ言ってる



さっきからずっと思ってたんだけどもしかしてこの子




「いづみさんのこと好きなの？」



「！！」



聞けばコクコクと目を輝かせて頷く彼



ふぅむ。




三角くんとはまた違う可愛さだ




「ずっと、監督だけが好き」



「おぉ……！一途だね！いいねぇ！青春だね！」



そしてさらに一途ときた。



一途って素晴らしい。



べた褒めすると少し照れたように「当たり前」としっかり言った



うんうん、いづみさんのことが大好きなのね




「……ただ、」


「？」



「監督のことは好きだけど、人間として好き。あの人の演技が好き。存在が好き。」



「結婚の好きとかじゃないの？」



「したいと思う……けど、どちらかと言えば見守ってたい。」



「親か」





テレっとしながら熱弁する彼はどうやらまだ自分の気持ちに整理が追いついていないようだ


うんうん、実に初々しい。

２２ﾟ→←２０ﾟ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す