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壇上に上った入間くんは何やら紙を手にしていた。
「あべるはぅけ」
ざわざわと周りの悪魔が異様な反応を見せ始めた。
「たるとぅだり いうさべべ」
「・・・あべるはぅけ、たるとぅだり、いうさべべ」
私も入間くんの真似をしてこっそり呟いてみる。
隣に座っていた悪魔がギョッとしたように私を見る。
皆静かなので、思いのほか私の声が響いてしまった。気をつけよう。
「つれざざ・・・」
「・・・つれざざ」
入間くんが詠唱(?)を終えると悪魔たちがどっと沸いた。
ぼんやり聞こえてくる言葉によると、これは禁忌呪文とかいうやばいやつだったらしい。
そりゃ隣のヤツもビビるわ。ごめんよ。
閉会を告げる声が聞こえ、入学式が終了した。
「・・・入間くん、さっきの呪文私も唱えちゃったんだけど、どんな効果があるの?」
「えっAちゃんも唱えたの!?えっとね、その日1日転ばなくなるんだって・・・失敗すると四肢が爆散するらしいよ・・・」
ウッソだろお前。ゾッとした。
「おい」
声をかけられ振り返ると、アスモデウス?さんがそこにいた。
「「・・・・・・」」
「横の君は関係ないから退いていろ」
「そっすか・・・」
とりあえず心細そうな入間くんについて行くと、中庭に着いた。
遠くから見ていると、「私の名はアスモデウス・・・」と桃髪の子の自己紹介が聞こえてきた。
アスモデウスって、七大罪の悪魔にいなかったっけ。確か・・・・・・なんだっけ・・・まぁいいや。
「さぁ、この衆人環視の下・・・私よりも実力が上だということを証明してみろ!」
「その身をもって!!」
約20分。入間くんは一度も被弾していなかった。っょぃ。
「・・・おぉ?」
アスモデウスさんが炎の剣を生み出して入間くんに襲いかかった。あれって持ってる本人は火傷しないのかな。
「っ!?」
ドシャアアアと凄まじい音が聞こえ急いで下へ降りると、砂煙の中から出てきたのは・・・
それはそれは見事なジャーマン・スープレックスを決めた入間くんとアスモデウスさんだった。
「・・・は?」
禁忌呪文の効果「その日1日転ばなくなる」が発動したということだろうか。
「・・・ふふ、凄いなぁ入間くんは」
思わず笑みがこぼれた。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない・・・ってか笑わないでよ・・・」
「ごめんね・・・ふふ」
真っ青な顔の入間くんとちょっとだけ笑っている私。
傍から見ればおかしな図だっただろうけど、なんだかとても楽しかった。
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リリー(プロフ) - 匿名希望:我妻さんさん» コメントありがとうございます!アムちゃんも色頭ですからねぇ・・・ (2020年2月9日 7時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望:我妻さん - 更新楽しみにしますね!アスモデウスって、確かに七つの大罪の『色欲』を司る悪魔でしたよね。 (2020年2月9日 1時) (レス) id: 590a3884b3 (このIDを非表示/違反報告)
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