灯りが消えた日【番外編】 ページ17
その夜の事。ベットで寝ていた私は悪夢でふと目を覚ました。それが前兆だったのかもしれない。気晴らしに冷蔵庫に入っていたお茶でも飲もうと、体を起こして廊下に出ると、リビングの明かりがついていた。中には父と母がいて、声がドア越しに聞こえた。
「ねぇ、あなた。勇太は天才なんじゃないかしら？」
「天才は言い過ぎだろ。」
「でも、あきらかに千穂理よりも才能があるし、頭もいいじゃない？」
「それはそうだけれど…」
「私たちは勇太を育てるために結婚したって言ってもいいんじゃないのかしら？あの子の能力はただものじゃない。千穂理はもうあれで十分よ。勇太を育てることだけに集中しましょう！」
「お前な……たしかに勇太の方が頭がいいことは否定しないけど……」
「……っ！」
私は親に気付かれないように静かにその場を離れた。部屋に戻る前に自然と涙がポロポロあふれ出していた。
私、放っておかれちゃうの？
期待する価値さえもない人間なの？
要らない存在なの？
そんなの嫌だ、嫌だ、嫌だ！！！
……
「…………り……ほり……千穂理！」
「……えっ？」
「大丈夫？酷くうなされてたけど。」
板の天井とAの顔だ。一年は組と一緒に遊んだ後、部屋に戻ってそのまま寝てしまったのか。
「ちょっと悪い夢を見ていたみたい。」
荒れた呼吸を整える。そしてゆっくりと目を伏せて、もうあいつらはいない、と心で唱えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奈月橋(プロフ) - ねこねこ！！さん» ありがとうございます！ (2019年1月5日 11時) (
レス) id: 75187d8a04 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこ！！ - 面白い！！ (2019年1月5日 0時) (レス) id: fe9db1ac35 (このIDを非表示/違反報告)
奈月橋(プロフ) - みこちさん» そうですね、小平太や仙蔵たちはキャラが崩壊気味ですが…大丈夫ですよ！必ず良くなります。なので、温かく見守ってください(^^) (2018年10月27日 17時) (レス) id: 75187d8a04 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 無いんです！今すぐ止めて下さい！」なんて、ポカンとしている仙蔵や小平太と、大喧嘩でもするんじゃ無いでしょうか？早く気が付いて！ (2018年10月25日 14時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 信じようとしてくれる下級生達もいるのに、心配です。もしこのまま、「さあ、天に帰してやるぞ』なんてしようとしても、「何を馬鹿な事してるんです！この人は、そんなことしなきゃいけないような人でも、ましてや、天女何かじゃ (2018年10月25日 14時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奈月橋 | 作成日時：2018年7月23日 15時
