笑えよ、天女様。3【忍たま】

98.葛藤 ページ1

久々知side






医務室の障子の前まで来た。






どうしてかって？天女たちに謝りに来たんだ。怪我させてしまったこと、僕の仲間が勘違いして相手に嫌な思いをさせてしまったこと。






一人目の天女が来たとき、怒りに駆られて僕の中の理性が切れてしまった。天女は上手く避けられずにそのまま天へ……という予定になるつもりだったんだけれど、それを見事に避けたんだ。どういうようにって？それは未だに分からない。






戦い終わった直後の自分は、気持ちが剥き出しになって、ついうっかり勘右衛門や五年のみんなに心配をかけさせる形になってしまった。素直にごめん、と謝りたかったけど、あれこれと僕の事を気遣ってくれていることに気付いて、僕は言うチャンスを逃してしまった。






でも―――――でも、心に突っかかる事がこの時から生まれたんだ。どうして避けられたのかという疑問は勿論、前の天女のように媚びてこないこととか、忍たまの目の前には全く姿を現さないこととか……僕は、このとき少し期待してしまったんだと思う。






数日経って天女は二人になり、僕たち五年生や上級生の警戒はより一層強くなった。次に僕が天女を見かけたのは、勘右衛門や三郎たちに殺されそうになって、戦っていた時だった。すでに一人はぐったりとしていて、もう一人はその子を必死で守ろうとしていた。






所詮、二人の関係なんてただの友達ごっこなんだと軽んじて見ていたけれど、どうやら大きく外れていたらしい。それは、天女が目に涙を浮かべて叫んだ時に一瞬で分かった。あの時の絶望感に満ちた顔は脳裏にまだ焼き付いて離れてくれない。







それから気になって、仕方がないんだ。少しくらい、今回の天女は良い人だって期待してもいいよね？だから、僕は善法寺先輩に一度拒否されたけれど、今ここに立っているんだ。リスクが伴っていることは勿論、承知で。少しだけなら、ほんの少しだけならいいよね？謝るくらいなら……








？( 久々知！)

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