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黒の親子02 ページ8

ハリーの言葉に身体中の熱が沸騰したようだった。
声を出そうにも何故か震えて上手く声が出せない。
それよりもまず、心臓が激しく動いて息が出来ない。

セレナは未だこの感情を上手く処理できないでいた。

「セレナ、大丈夫?」

ハリーの声でセレナは思い出したように顔を上げると、ハリーの腕を掴み窓際に引っ張った。

「だ、大丈夫!えっと、そう、お父さんと一緒に会いに来たの!こっちよ」
「本当?」

ハリーが覗き込むと、下には不貞腐れたシリウスが今か今かと待ち構えており、目が合うとそれはもう嬉しそうに笑みを浮かべた。

「さ、下に行くわよ」

セレナも顔を出し指をクルクル回すと、シリウスは頷きハリーに浮遊呪文をかけた。
突然のことに驚いたハリーだったが、最初はセレナが最後はシリウスが支えたお陰で無事着地した。

セレナも後に続き再び芝生の上に着地すると、三人で再会を分かちあった。

「久しぶり、シリウス、セレナ」
「ハリー、大きくなったな。また背が伸びたんじゃないか?」
「まあね。それよりどうして二人がここに?」

ハリーの疑問に答えるには少し時間が早かった。シリウスは持っていた時計で時間を確認すると、セレナに五秒前だと告げカウントダウンを始めた。

三……二……一……。

「ハッピーバースデー、ハリー・ポッター。産まれてきてくれてありがとう!」

親子で口を揃えて言うと、ハリーはポカンと口を開けて固まってしまった。
シリウスとセレナは目を合わせ首を傾げていると、ハリーは「そのために来たの?」とぽつりと尋ねた。

「もちろん」そう二人で頷くと、ハリーは「似た者親子め」と恨めしそうに呟いた。

「二人に祝って貰えるのは凄く嬉しいけど、危険すぎるよ」
「危なくないようにお父さんを連れてきたのよ?」
「私は魔法が使えるからな。見られたら忘却呪文で何とかする」

平然と言ってのける親子は普段は知略的な姿を見せるが、どうもハリーが関わるとなにか一本抜け落ちたような思考を見せる。
しかし、ハリーはそんな二人が好きだった。ダーズリー家と違ってハリーが優先で、ハリーにとっての天国と地獄と言っても過言ではなかった。

「……にしても、その服は何だ?新しいファッションか?」

シリウスはハリーのダボダボとした服に難色を示しながらも傷つかない様に言うと、ハリーは苦笑し「シリウス、怒らないでね」と前置きをして言った。

「従兄弟のダドリーのお下がりなんだ」
「っ、ンぐ」
「お父さん、叫ばないで」

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れい - 炎のゴブレット 前編お疲れ様です!家に帰ってきたらまずこのシリーズが更新されているかを見るぐらい愛しています!最近小説を書き始めてから一日一話更新って難しいんだなとわかりました。レンさん本当に感謝です! (2月27日 7時) (レス) @page50 id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 朱里さん» 朱里さん、コメありがとうございます!お褒めの言葉凄く嬉しいです!1日1話で逆に申し訳ないですが、引き続き応援と評価よろしくお願いします! (2月16日 23時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 最近読み始めました!とっても面白いです!これからも無理せず投稿を頑張ってください! (2月16日 16時) (レス) @page40 id: 88ac2833a9 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - れいさん» れいさん、コメありがとうございます!文章の構成とか考えるの難しいですよね💦私も中々上達せず割り切って作ってるのが現状です。出してみて皆さんからの応援やコメ、評価で漸く自信が着きました!上手くかけてるのだとしたら皆さんのおかげです。本当に感謝です! (2月13日 7時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
れい - コメント久しぶりに失礼します。出す気は今のところないんですけど、文章を書いていて、すごく難しいですね。語彙力と想像力のあるレンさんは本当にすごいなと改めて思いました。しかも一日一つずつ更新してくれるとか神すぎです。これからも完結しても、応援します。 (2月12日 17時) (レス) @page36 id: d760ec90d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レン | 作成日時:2023年12月25日 7時

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