重大秘密の日記10 ページ39
ハリーの言葉にセレナは苦笑した。
何故なら、一年生の頃から誰よりもお世話になっている部屋だ。
義父との時間を設けるために、今も去年と同じく個人授業を受けているのだから間違えるはずが無い。
リドルが小一時間ほど息を殺し物陰に隠れていると、その時は突然訪れた。
見知った声がセレナたちにも聞こえてきた。
『おいで...お前さんをこっから出さなきゃなんねぇ...。さぁこっちへ、この箱の中に...』
リドルはスッと物陰から現れると、大柄な少年と対峙した。
『こんばんは、ルビウス』
『トム。こんな所でお前、何してる』
『観念するんだ。ルビウス、僕は君を突き出すつもりだ。襲撃事件がやまなければ、ホグワーツ校が閉鎖される話まで出ているんだ』
リドルの言葉に、セレナは勿論のことハリーも疑念を抱いた。聞いた事のある《ルビウス》と呼ばれた少年についてと、まるで彼を襲撃事件の犯人だと決めつけるリドルの言葉選びに...。
『コイツは誰も殺してねぇ！』
『怪物はペットとして相応しくない。君はそいつに運動をさせようとしてちょっと離したんだろうが...』
少年の後ろの扉からカチカチと奇妙な音がした。
リドルはルビウスの制止の言葉に一切耳を貸すことなく、扉を塞いだルビウスを呪文で跳ね除けた。
『死んだ女子のご両親が明日に来る。娘さんを殺した奴を確実に始末することは少なくとも学校で出来る』
そう言ってリドルが扉を開けると、セレナとハリーは目を疑った。
それは、毛むくじゃらの胴体が低い位置に吊り下げられていた。
絡み合った黒い複数の脚、ギラギラ光るたくさんの目に、剃刀のように鋭い鋏……。
『やめろ』と叫ぶルビウスの声は届かず、リドルは容赦なく怪物に向かって呪文を唱えた。
どさり、とまるで宙にでも浮いてたような感覚を受けて、セレナとハリーは目を覚ました。
見慣れた談話室の景色に安堵しながらも、セレナとハリーは顔を見合せた。
「ハリー、大丈夫？」
「うん...セレナは？」
「私も大丈夫。それより...」
リドルが見せてくれた日記に隠された《記憶》は、セレナたちにとって衝撃を与え影を落とした。
一年生の頃からお世話になった《ルビウス・ハグリッド》
彼が怪物を操ってマグルを殺したなんて、到底思えなかった。
日記にあった出来事が本当かどうかも分からない...だけど……。
空は白みだし、寝不足の頭はこれ以上考えるなと痛み、やがて思考回路を止めた。
「セレナ、とりあえず一度寝てから考えよう。嫌なことばかり考えてしまう」
「そうね。それで、皆にこの事を話さなくちゃ...」
セレナは最後に清めの呪文を唱え、身体をソファに委ねた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レン(プロフ) - 葵さん» 葵さんコメントありがとうございます！コメント頂けるだけで励みになります✨️GW明けたので更新頑張っていきます！ (2023年5月8日 7時) (
レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とっても面白いです！更新頑張ってください！（文章短くてすいません） (2023年5月6日 20時) (レス) @page34 id: 20e1982af2 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - みーさん» みーさん、コメントありがとうございます！これからも執筆頑張ります！！ (2023年5月1日 7時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
みー - むちゃくちゃサイコーです！ (2023年4月29日 20時) (レス) @page32 id: 3d403f2132 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - レイさん» レイさん、コメントありがとうございます！出来るだけ違和感が出ないようにと心掛けてるので嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします！ (2023年4月24日 6時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レン | 作成日時：2023年3月18日 7時
