壁に書かれた文字08 ページ11
「あら、ロン。そこは入れるわよ。だって、嘆きのマートルがいる所だもの。誰も入ってこないわ」
ハーマイオニーの言葉に、戸惑いながらも女子トイレに入る男子たちの後からセレナも入った。
そこは他のトイレと違って、異様な雰囲気を醸し出していた。
鏡はヒビ割れ、石の欠けた手洗い場がずらりと並び、床は何故か湿っぽく、トイレを仕切る木扉はペンキも剝げ落ち、中には丁番が外れた物まであった。
「こんにちは、マートル」
一番奥の小部屋の方に歩いていくと、ハーマイオニーが声をかけた。
水槽の上にマートルはふわふわと浮かんでいた。
マートルは顎にあるニキビを潰していたが、セレナを見つけるや否やハーマイオニーを無視して猫なで声でセレナの名前を呼んだ。
「ぁあん、セレナ。お元気？」
「元気よ。今日も可愛らしいわ、マートル」
「貴女からならお世辞でも嬉しいわ」
うっとりとした表情を見せるマートルに苦笑しながらも、セレナは皆を代表して質問をした。
「そういえば、絶命日パーティのあったあの日にミセス・ノリスが襲われたの。知ってる？」
「聞いたわ。女子生徒がキャアキャア騒いでたもの」
「じゃあ、その時誰か見かけたりしなかった？」
ハリーも聞くと、マートルが興奮気味に言った。
「そんな事、気にしてられなかったわ！だって、ピーブスがあまりに酷いものだから、私ここに入り込んで自サツしようとしてたの。そしたら、当然だけど...私、わたしって……」
「もう死んでた」ロンが代わりに言うと、マートルは悲劇的なすすり泣きとともに空中に飛び上がると、今度は真っ逆さまに便器の中へと飛び込んだ。
飛沫が四人を襲ったが、セレナだけはハリーがローブでカバーしてくれたおかげで濡れることは無かった。
「ありがとう、ハリー」
「どういたしまして。それにしてもマートルって、うん...独特だよね」
まだトイレの配管辺りで鳴き声が聞こえるため、ハリーは言葉を選んだ。
ハーマイオニーはアレでも機嫌がいい方だと言いながら、四人は部屋を出た。
その時だった。ロン！と階段の上から突然呼ぶ声が聞こえ、慌てて四人は見上げた。
パーシーだ。胸に監督生のバッジを煌めかせながら、衝撃を受けた表情を浮かべていた。
「そこは女子トイレだ！君たち男子が一体何を...」
「私の落し物を探してもらってたんです」
セレナがすかさず言うも、パーシーは大股で近付いてきて説教を始めた。
「だとしてもだ！皆が夕食の席に着いているのに、またここにいるとどう思われるのか分からないのか！？」
その言葉にロンが熱くなった。
「何で僕たちがここにいちゃいけないんだ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レン(プロフ) - 葵さん» 葵さんコメントありがとうございます！コメント頂けるだけで励みになります✨️GW明けたので更新頑張っていきます！ (5月8日 7時) (
レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
葵 - とっても面白いです！更新頑張ってください！（文章短くてすいません） (5月6日 20時) (レス) @page34 id: 20e1982af2 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - みーさん» みーさん、コメントありがとうございます！これからも執筆頑張ります！！ (5月1日 7時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
みー - むちゃくちゃサイコーです！ (4月29日 20時) (レス) @page32 id: 3d403f2132 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - レイさん» レイさん、コメントありがとうございます！出来るだけ違和感が出ないようにと心掛けてるので嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします！ (2023年4月24日 6時) (レス) id: 38d4befbfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レン | 作成日時：2023年3月18日 7時
