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──────……




次の日。
Aは早速料理をしようとキッチンに立っていた。








「……」


「…あの、A?」


「ん?」


「何読んでるの…?」


「漫画」


「…ですよね」








Aの手に持っているものは料理漫画だ。
参考資料がまさかのそこだったことに若干驚きつつも、影汰は静かに見守りだす。








「よし、とりあえず玉ねぎを切って……ゔ…目沁みる」


「…大丈夫?」


「…大丈夫。……次に、鶏肉…は頼むの忘れたから、ウインナー代わりに切って………炒める」


「……」


「ご飯も入れて、ケチャップも……あ、ケチャップ入れすぎた…ま、いっか」


「……」


「じゃあ卵割って……あ、殻入っ………うん、セーフ。混ぜて…焼いて……ひっくり……返すのむずいな。…あれっ」


「……」








そこでAは影汰を見た。








「向こうで待ってて」


「…あ、うん」








Aに言われリビングに戻ってきた影汰は、静かにキッチンの方を見つめながら思う。
あの覚束無い手つき、普段料理しない自分から見てもわかる…料理初心者(同類)だと。








「…それでも、一生懸命作ってくれるなんて」


「……はい、出来た!お待たせ!」


「!」








Aは二つの皿を持ってくるとテーブルに並べた。
完成したのはオムライスだ。
卵の上にはニコちゃんマークが描かれていた。








「可愛い…」


「いや〜我ながらニコちゃん()上手いわ」


「ニコちゃん()…?」


「料理は……ほら、味で勝負だから」








そう言うとAはいただきます!と言ってオムライスを頬張りだした。
影汰も続けて、いただきますとスプーンに手を伸ばす。








「ん!…ん?……うーん。……なんていうか、ご飯ベチャッてなってて卵も固くて、微妙…かも」


「そう?全然美味しいよ」


「嘘だぁ。お世辞はいいよ。…料理下手って思ったでしょ」


「まぁ、苦手なのかな?とは思ったけど…でも、一生懸命作ってくれたことが何より嬉しいし、味についてもお世辞じゃなく、本当に美味しいって思ったよ」








あまりに真っ直ぐに目を見つめてそう言われるので、Aは思わず目を逸らした。








「…そう」


「うん。だからまた作って。僕、君の作るご飯も好き」


「…まあ、別にいいけど」








そう言って静かに喜んだ表情を見せたAを、影汰は愛おしそうに見つめながらオムライスを頬張った。

終わり←xxii



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設定タグ:誘拐 , 狂愛 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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さく - すごい面白いです!!!! 更新頑張ってくださいね、ずっと待っていますから (2022年1月19日 18時) (レス) @page23 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2021年11月24日 17時

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