無色の枷 (ページ14)

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──────……

「…ふぅ……っ」

Aはシャワーを終え、浴室から出てきた。
結局、浴室でも出来そうなことはほとんどなく、彼女は落ち込む。
使えそうな道具もないし、窓は板で塞がれていた。
もう、チャンスが来るまで従順に過ごしていくのが得策なのでは…という考えにすら至りだす。

「…にしても、替えの下着はあっても服は昨日と同じか」

とはいえ、影汰の服を借りるのもイヤなので、Aは諦めて自分の服を着だす。
その時、ドアの向こうから声が聞こえた。

「…A？もう着替えた？開けていい？」

「ん？…ああ、別にいいよ」

何か用かと思ったが、影汰はドアを開けると、ただひたすらに愛おしそうにAを見つめだした。

「……なに？」

「ううん、可愛いなァって思って…。僕のことは気にしないで」

「そんなジロジロ見られたら気にするんだけど……まぁいいや」

Aは諦めると、無視して髪を乾かしだした。
鏡越しにニタニタとこちらを見つめる影汰が見えると、彼女は気持ち悪いな…と目を逸らす。

結局、その後の歯ブラシの間もひたすら見つめられていたが、全てを終え洗面所から出ようとすると、突然彼に抱きしめられた。

「うわっ…なに」

「スー…ハー……」

「…本当匂い嗅ぐのやめて」

「……違う」

「は…？」

突然、影汰はそう言うと彼女から顔を離し、落ち込んだ。
Aはわけがわからない…といった表情で彼を見つめる。

「……君の匂いじゃ、なくなってる」

「？」

「…僕の匂いだ」

「……あー、シャンプーがお兄さんのだからってこと？」

影汰はコクンと小さく頷く。
落ち込んでる様子からして、僕と同じで嬉しい！…というタイプではないのかなと、Aはすこし意外性を感じる。

「…まあいいや。今日だけ、我慢…」

「今日だけ？」

「うん。こっち来て」

影汰はAの手を引きリビングに連れてくると、定位置のようにソファに座らせた。

「…その前に足枷」

「え？…ああ、はい」

反論しても仕方ないので、Aは素直に足を差し出す。
足枷を付け終わると、影汰は彼女にタブレットを渡した。

「タブレット…？」

「うん。通販サイト開いてあるから、そこで必要な物カートに入れて」

「え！？」