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──────……




平凡な生活を送ろうとも、事件に巻き込まれようとも、変わらず平等に時間は過ぎ…朝はやってくる。
カーテンの隙間から差し込む光が顔を照らすと、Aはゆっくりと目を開けた。








「……ん……ぅ………………朝……?」








のそりと身体を起こすと、何かに足を引っ張られる感覚に陥った。
正体は足枷とテーブルを繋ぐ鎖だ。
寝ている隙にリビングから逃げないように、昨晩影汰に繋がれたのだった。








「鎖、短い……余計不自由じゃん」








あの後、Aは影汰に誘拐自体も本当の愛ではないと説得を試みた。
しかしどれだけ話しても、彼に解放することだけは絶対にしないと断言されてしまい、全く説得が通じないまま鎖を繋げられて、おやすみと部屋に戻られてしまった。


Aはどうしたものかと考えながら、寝ぼけ眼の目を擦る。








「げ、マスカラ取れた……。うわぁ…最悪、メイク落とさず寝ちゃったのか……そりゃそうかぁ……」








憂鬱な気分になり、Aは膝を抱えてうずくまる。
その時、ふと目に映った壁の時計を彼女はぼーっと見つめだした。








「9時…もう出勤時間じゃん。職場も急に私が来なくなったら困るよね。迷惑かけちゃうなぁ……」


「誘拐されてるのに職場の心配なんて……君って案外社畜?」


「ああ、お兄さん。いたの」








いつの間にか背後に立っていた影汰に大して驚きもせず、Aはチラリと一瞥だけした。








「おはよう、A。一晩経っても、君は相変わらず冷静だね」


「むしろ一晩経ったから余計に冷静なんじゃない?」


「…なるほど、そういうもんかァ。……あ、トイレは?」


「行きたい」








Aは昨日と同じ方式でトイレに連れて行ってもらう。
一応チラリと小窓から外は見たが、相変わらず希望の薄そうな景色でそのまま外へと出る。


ドアを開けると再び影汰に捕まり足枷を付けられると思ったが、彼は何故か手を繋ぎ、彼女を何処かへ連行しだした。








「?…なに、どこ行くの」


「お風呂場。シャワー浴びたいかと思って」








その言葉を聞き、Aは少し目を輝かせる。
思ってもいなかった!まさかシャワーが許されるなんて!
だが風呂場に着いた瞬間、彼女はハッとする。








「ま、待って…!まさか一緒に入るとは言わないよね?」


「え?」








影汰は、当然一緒に入るつもりだったと言わんばかりの表情をした。

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設定タグ:誘拐 , 狂愛 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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さく - すごい面白いです!!!! 更新頑張ってくださいね、ずっと待っていますから (2022年1月19日 18時) (レス) @page23 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2021年11月24日 17時

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