５６満月の夜 ページ6
衝撃的な事実に、Aは言葉を失った。心做しか骨喰も少し暗い顔をしている。共にいたこんのすけも初めて知る事実に衝撃を受けたようで、口を開かなかった。
そしてその暗い静寂を破ったのは骨喰だった。
｢……今日は満月なんだな｣
窓から見える月を見て骨喰はそう言った。場違いな言葉は皮肉にもその場の空気を和らげ、氷でも溶かすようにAの身体に沁みる。すると肩の力が抜けていき、やっと口を開いた。
｢外に出て見てみますか？この本丸に来てからこんなに綺麗な満月を見たのは初めてです｣
少し大袈裟かもしれないが、事実に変わりはない。もとよりこの本丸で月を気にしたことはない。そんな余裕などなかったからだ。
骨喰は暫し考えた後、Aの目を見て頷いた。
あの日もこんな満月の夜だった、と零して。
＊
｢結界を張っているのか｣
外に出ると薄ら揺れる膜のようなものにそっと手を触れ骨喰が言う。Aはまだまだですけどね、と返した。
初めの頃よりかは幾分か腕を上げたつもりだが、まだまだ弱いのには変わりない。小夜と特訓したあの頃が懐かしいと、Aは感傷に浸った。
月を見上げる骨喰をよそに、Aは何気なく池の方へと目を向けた。日も暮れていたが月明かりが水面に反射し池の周りだけが仄かに明るかった。
｢あれは……誰？｣
見えたのは池の側にうずくまる人影一つで、何かを言っているように見える。他に誰かいる様子はなく、それが池に向かって話しかけているのだと気づいた。とすれば、考えられる人物は二人。共に兄弟を池になくした宗三か鯰尾だ。それはゆっくりと池に身を傾けているように見える。
そして次の瞬間、骨喰が放った言葉でそれは確信に変わった。
｢兄弟！！｣
血相を変えた骨喰は池の方へと走り出した。それを慌てて追いかける。
池に辿り着く前に、鯰尾は池の中へと姿を消した。小夜が落ちた時と同じ光景に、Aは目を逸らす。そんなAとは反対に、骨喰はその瞬間をしっかりと見ていた。
──兄弟。
確かに聞こえたその声は、耳に残るようなもので。それは骨喰の声だったのか、或いは──。
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アニメラブ(プロフ) - 小夜！！！！ 帰ってきてー (2017年9月22日 9時) (
レス) id: a0166d0c90 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 華骸さん» ありがとうございますヽ(*´∀｀)ノ (2016年8月2日 18時) (レス) id: 92460ae46a (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 和さん» 罪人の首を刎ねよの方も見てくださってありがとうございます！ 励まされたなんて私はそんな大層なことは書いてないですよ(笑)本当の事を書いただけです！ これからも読みに来ます(。・ω・。)ゞ (2016年8月1日 22時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 華骸さん» わっわっ、コメントありがとうございます(*^^*)前回の華骸さんのコメントにもすごく励まされ、続編まで……！華骸さんの"罪人の首を〜"のお話毎回楽しみにしております(^-^)続編もおめでとうございます！ (2016年8月1日 8時) (レス) id: 92460ae46a (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 続編おめでとうございます！ 楽しみにしていました！ これからどういう展開になっていくのが読めない感じがいいですね！ ワクワクします！ 更新楽しみにしてますね(*´ω｀*) (2016年8月1日 1時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：和 | 作成日時：2016年8月1日 0時
