49話 ページ50
「「「監督生!!!!!」」」
おい私の心配をしろよ、
なんて話ではない。
ユウくんはその衝撃で箒から落ちていた。
私は何とか衝撃を箒を同じ速度で
落下させつつキャッチすることで弱める。
「ざけんなよ!!」
クラスメイトの腹を
箒にかける形で乗せて箒を固定。
「moment of moment!!!」
間に合って!
移動中は酔うので目を閉じる。
感覚的に目を開けば落下するユウくんと
地面の間に体が滑り込んだ瞬間だった。
「う゛っ、」
キャッチした!
と思った瞬間背中が地面にたたきつけられる。
頭を打たないように首だけは固定していたけど、
背中を打った衝撃でくらりと脳みそが揺れた。
「ユウくん!!!!」
そんなことはどうだっていい。
アドレナリン出まくりで何も感じない。
腕の中に抱きとめた彼は、
顔面蒼白だったが
見た感じどこも怪我していないようだった。
「監督生!A!!!!」
バタバタとエースにデュース、
グリムが走ってくる。
「大丈夫、ユウくん、
ごめん、
乗せて飛ぶなんて、しなきゃ良かった…!」
呆然と腕の中で震える彼の肩を軽く揺する。
焦点は合わないし、返事も返ってこなかった。
「A!!!」
「エース……!
どうしよ、ユウくんが」
「怪我してるのか?!」
デュースが叫んだ。
「ううん、外傷はないと思うんだけど……!」
「つーかお前も大丈夫かよ、
派手にぶつかっただろ?!」
と言うエースを手で押しとどめる。
「内緒だよ。」
「「「は?」」」
「ーーーーーーー」
すぅ、と息を吸って音を紡ぐ。
キラキラと僅かに光の粒子が散って、
ユウくんはゆっくりと瞳を閉じた。
「え、今、なに、」
「内緒だよ、エース、デュース、グリム。
特にアズールたちには。」
しー、と人差し指を立てると、
わかったような分からないような顔をして
神妙に頷く3人。
「無事ですか?!」
「怪我はないか!」
そこに
学園長を伴ってバルガス先生が走ってきた。
「はい、気を失ってるみたいですけど、
怪我はしてないと思います……」
そう言えば、
はぁ、とため息をつく学園長。
「Aくん!
今回君に非はありませんが、
これからも最新の注意を払って
監督生さんを箒に乗せるように!」
一部始終はたまたま見ていました。
と言う学園長。
最もだ。
もう少し私が頭上に気を配って飛んでいれば。
「それでも今の対応はパーフェクトです。
魔力を多用したでしょうから、
無理をしないように。」
「はい」
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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時