【ツイステ】破天荒な人魚は自寮がお嫌い (ページ32)

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31話ページ32

「ラギー先輩！！！」

「ってぇな……誰だ、お前」

「うぇ？！」

聞こえてきたのは知らない声。
そういえば頭が随分上にある。

……耳だけで判断したのが間違いだった……

「あ、あのぉ……ほんとにすみません、
俺……あなたと同寮のラギー先輩を探してて」

耳があるだけあって
彼の腕章はサバナクローの色をしていた。

「ラギー先輩？
あの人ならあそこにいるが？」

「え？」

とたたたた！
とすごい勢いでかけて行く
ラギー先輩が視界に映った。

「……行かないのか？」

「お恥ずかしい話、
あのスピードには私じゃついていけません……」

まるで風のようにかけて行くので、
海中でもない限り追いつくのは難しそうだ。

「鍛錬が足りないんじゃないか？」

ピコ、と耳が動き、
そのままガっ！と腰を掴まれた。

「ふひゃ？！
っちょ、くすぐったい！！」

「全然肉もついてない……
腰も細いし……色も白すぎる」

男なら鍛えろ！
と豪語する彼。
名前より先に体を触られた。
とりあえず名乗ろう。何くん？

「軽い」

「私はぬいぐるみじゃないんですけど」

例のごとくひょいである。
なんなのさみんなしてさ！

「きちんと運動しているか？
背も低めだし首も細い。
体が弱いのか？無理してないか？」

「お母さんかなぁ」

「あんまり無理するなよ」

「ママ……」

で、誰かな君は。

「あの、名前、」

「っ、ああ、俺はジャック･ハウル。
お前、少しは運動しろ」

「俺はA･セイルだけど……
俺は運動好きだよ」

1年と名乗った彼に、そう返す。
その言葉に目を剥くジャックくん。

「信じられない……いや、
それならいいんだ。
お大事に」

「いや全然信じてないよねぇ！
あ、ちょ！またね！？」

スタスタ歩き去ってしまう背中に、
私は慌てて声をなげかけた。