24話 人魚組過去捏造アリ ページ25
「見てご覧なさいあのウツボの人魚」
「顔かたちもそっくり。
それにあの獰猛な歯。」
「いつもふたりで一緒にいるんですって。
友達がいないのかしら。
全く気味が悪いわね……」
ミドルスクール。
「ねぇ母さん
めっちゃ寒いんだけど凍え死にそう」
「頑張りなさいな。
私たちはまた海を一周してくるから。」
「はっはっは、A、元気でな!」
「親として信じられない!!!」
なんて両親においていかれて通うことになった、
寒い寒い海にあるミドルスクール。
まぁカジキは群れで行動するわけじゃないから、
別に寂しいなんてことは無いのだけど。
ただただ、
どこにいても耳を刺すウツボの人魚という存在が、
私にとって1番の興味の的だった。
「そういえば
あの出来損ないのタコと一緒にいるそうよ」
「やっぱりはぐれ者ははぐれ者どうし
傷を舐め合うのねぇ」
タコ。
本人らを見た事もないので、
一体どんな姿かたちなのかと好奇心が募った。
友達はいたし学校生活は順風満帆だったけど、
海を自由に見て回っていた時ほどの
ワクワクはなかった。
「あ」
薄く緑がかった身体に、
ウツボらしく
尾びれが二股にならない男の人魚。それも2人。
一目見た瞬間あぁこのふたりが噂の。
そうわかった。
そっくりだと言っていたけれど、
待とう空気も目の形も色も、
髪型も、同じと言い張るには少し無理がある。
「鏡合わせみたい」
「……何見てんの?
オレに締められたいのォ?」
ポケーと眺めていると、
少し間延びした、
それでいて
どこか怒りを孕んだ言葉が投げかけられた。
「へ?締める?
………………是非?」
何やらよく分からなくて、
(だってウツボなんて会ったことがなかった)
何やらウツボ流の挨拶だろうか?
仲良くしようね的な?
と考えた私は、
特に深く考えずに頷いていたのだった。
「は?」
「??」
「え?」
一転きょとーんとこちらを見つめてくる2人に、
私は訳が分からなくなって同じ視線を返した。
「フロイドこの方」
「あぁバカ?」
「えぇっと聞こえてるんですけど」
堂々とバカと言い張った片割れ。
色々特徴はあるけどタレ目の方だ。
の名前はフロイドと言うらしい。
盗み聞きしたみたいで少し申し訳ないけれど、
名前を知れただけでも
十分な進歩ではないだろうか。
だって別に普通じゃん。
怖いとか気持ち悪いとかいうから
一体どんなものかと思ったけれど。
こんなの個性で特徴で、
このふたりにしかないとくべつじゃん。
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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時