4話 ページ5
「あんた、
ずっと車椅子にでも乗ってたんスか?」
「ちがっ、わないけどそんな……感じ……」
膝が傷まみれだった。
芝生の上でやっているから、
派手な怪我では無いのだけれど。
呆れ顔で呟くラギー先輩は、
私の走れなさに
初めふざけているのかと思っていたようだ。
今でこそ堂々とバカにしてくる訳だが。
……彼はハイエナ?とかいう陸の動物らしく、
耳としっぽはそれ故、ということらしい。
そう考えると人魚感覚 ゼロの私達は、
随分上手く……
と考えてギザ歯のウツボと
人魚時代から変わらない自分のアホ毛(最強)
を思い出してため息をついた。
このアホ毛マジで頑固なんすよ。
「いいっすか、
とりあえず手と足は左右逆!
まず普通に!
スムーズに!歩けるようになってくださいっス」
「これでも練習したんすよ〜!!」
ラギー先輩といすぎて喋り方すら移ってきた。
「……まだやってんのか」
「ライオン先輩!!!」
くぁぁ、とあくびを噛み殺しているのは、
レオナ・キングスカラー。
少し前にラギー先輩の言っていた人
……つーかライオン?
安定のケモ耳は、
いつか絶対触ってやると心に決めている。
ちなみにラギー先輩のは触った。
くすぐったいっスよ、っ、
と言っているラギー先輩。
ぎゃんかわ。
新しい何かに目覚めそうだった。
また触る。
「誰がライオン先輩だ……
オイラギー、
そいつすこしはまともになったのか?」
「いやぁ、全然っすね。
オレは食い扶持が減って嬉しいんすけど……
さすがに哀れというか」
堂々と哀れまれた。
違うもん海の種族を
陸に呼ぶのが間違ってるんだもん……
というかそれ以前に私は女である。
男子校なんだってね、ここ。
うん、制服が男物だからびっくりしたよ。
まぁそれよりも当然のように接してくる
あの3人にもびっくりしたけど!
学園長はバレなければ構いません!
なんて言ってたし。
大丈夫かまじでここ。
「ライオン先輩見てください!
私、まともに歩けるようになりましたよ!!」
「褒めるところが見当たらねぇ……」
呆れ返った様子で
ライオン先輩は背を向けてしまった。
「なんでオレはラギー先輩で
レオナさんはライオン先輩なんスか……?」
堪えきれない笑いを隠さず、
ラギー先輩は私にそう聞く。
「うぇ?
先生と、
耳の着いた可愛い先輩の違い、ですかね…」
「可愛い!!!」
どひゃー!!!
とラギー先輩が叫ぶ。
チッ、と舌打ちするライオン先輩もいて。
この生活に、馴染みつつあった。
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作者名:よく骨を折る田中 | 作成日時:2020年6月30日 22時