47ー2(狂信者) ページ46
『っ………!!!』
身体中の空気が絞り出されるような強い衝撃。
頭が割れたかと思うほどで、血が流れる。
体に力が入らず、目を開けるのも必死だ。
「君は悪鬼羅刹を続けるべきだった。続けないなら俺が君を倒して成り代わる。そうすれば悪鬼羅刹は生き続ける。悪鬼羅刹は復讐の鬼だ。人が代わっても想いは生き続ける」
『………』
一緒じゃ、ない。
お前は、私の想いとは違う。
「一緒にすんじゃねぇよ。Aの想いはそいつだけのもんだ」
「!?」
あきらの背後から、奴をなぎ払う木刀の鋭い一太刀が浴びせられた。
「A、無事か……!?」
『ヅラ、兄………どう見ても………無事じゃないでしょ、これ……』
駆け寄ってきたヅラ兄に止血され、銀兄を見やる。
「くっ……何故此処がわかった」
「うちには優秀なワンコがいるんだよ。幕府の犬っころどもとは違ってな」
定春か……ありがとう。
「さっさとA治す薬出しやがれ」
「薬……?ははっ、そんなもののために来たのか、お前等。薬なんてもうないよ。今日決着つけるために、全部処分したからね。エサに食いついてバカじゃないの」
「!てめぇ……!」
『あっ……!ぅっ、ぐ……!』
「!?おいA、しっかりしろ!!」
呼吸が苦しい。脂汗が引かない。
首どころか全身が痛い、寒い。
ヅラ兄の顔がぼやけて、呼び掛ける声も遠くなる。
ヅラ兄、銀兄………。
・
・
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:都野桜 | 作成日時:2021年12月5日 11時