40ー1(美味しい匂いに釣られて) ページ29
真選組を出た後、街を散策……いや、見廻りながら帰路についていた。
ネオンや提灯などの明かりが灯りはじめるこの時間。なにかおかずになりそうなものでも買っていってあげようかな。
何があるかといろいろ見て回ったけど、歓楽街で持って帰れそうなものがない。
人々の様子も異常なし。
まだ夕色残る空には異郷の船が飛び交い、この下界を見下ろしている。
あの船みたいにのんびりしたいなぁ……。
しかし真選組か。幕府の連中とは馬が合わない。だけど彼奴等なら、少しは大目に見てあげてもいい。
『んっ……?』
鼻を掠めたいい匂い。これは……。
『………ラーメン屋』
北斗心軒と書かれた暖簾。その向こうからは食欲をそそる美味しそうな匂い。
『うぅ……でも家にはご飯が……』
食欲に負けるか、と思っているとぐぅ〜とお腹が正直に鳴った。
『………』
なんて正直なのだろう。
思えば、昼に出されたおにぎりしか食べてない。
食堂もあるとか聞いてたけど、行くタイミングを逃していたんだ。そりゃぁお腹だってすく。
ごめん、銀兄、神楽、新八。明日は皆で食べよう。
内心謝ったのでよしとして、暖簾をくぐった。
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作者名:都野桜 | 作成日時:2021年12月5日 11時