39ー2(一億年早い) ページ27
夕陽がもう沈む頃だ。
今日はこの辺にしてそろそろ帰るか。
ぐぐぐっと大きく伸びをし、資料の片付けをして廊下へ出た。
「あれ?Aちゃん、何処に行くの?」
振り向くときょとんとした顔の近藤さんと煙草を咥えた土方……さん。
『何処へ……って、帰るところです』
「いやいやいや、帰るって……とっつぁんに、Aちゃんは宿無しだから面倒みてやれって頼まれてるし、真選組にいていいんだよ?」
「そのつもりであの部屋を与えてるんだからな」
『宿無しって…前までの話です。今はもう帰る家があります。だから帰るんですよ』
「え?家あるの?」
失礼な。驚くなよ。
「あー……そういえば万事屋の妹だもんね、万事屋に住んでいるのかな?」
「は?万事屋?…万事屋の妹ぉ!?」
『どうもー、坂田Aです』
今知ったのか、激しく動揺している。
『銀兄と知り合いみたいで、兄がお世話に……いや、お騒がせしてます』
世話になるより騒がせてそうだ。
「掴み所がなさそうなのは似てるな……;;」
そう言われるのは初めてである。
『そういうことで、宿の心配しなくていいですよ。それに、巡回してたら怪しい奴がいるかもしれませんから』
「いたとしても一人で突っ込むな。危ねぇだろうが」
『無理なお願いですね。目の前で事件が起きて、黙って見てる性格じゃないんで』
それは多分、あんたたちも一緒でしょ。
『ってことで、また明日来ます。お疲れ様です』
「あっ、おい……」
引き留める声を無視して夕色に染まる街に足を向けた。
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作者名:都野桜 | 作成日時:2021年12月5日 11時