ウラのウラはオモテ【桂】 ページ1
細い路地の暗がりを走り抜けた。
鮮血が流れる左腕は鋭い痛みと熱さを伴う。
どこへ行くべきか迷い、とにかくひたすら走る。
もう追手は撒いた。心臓が苦しくて物陰に座り込む。もう足が動かない。立てない。
さっき、仲間を殺した。いや、本当のことを言うと敵の敵を殺した。
つまり、私と同類...過激派の密偵だ。
でも、私の居場所はなくなってしまったんだろうな。
過激派の仲間を殺した。過激派の裏切者。
穏健派である潜入先からすれば、私は仲間を殺した。穏健派の裏切者。
攘夷で居場所をなくしたら、私はどうすればいいの?
いっそのこと、真選組とかに捕まって、厳しい尋問を受けたり、果てには斬首とかされるか。
『桂さん......』
こんな時に思い浮かぶのは、潜入先のリーダー。
今頃、私が裏切った、とでも知らされているのではないか。
もしそうなら、もう会えないよね。
でもね、桂さん。
あの男は、私の仕事が遅いからって潜入任務の交代、更には桂さんの暗殺を企んでたんだよ。
裏切者って罵られても、斬られても....それでも私、あの男に桂さんを殺させたくなかったの。
だって、桂さんは優しい人だもの。
復讐のために人生を捧げてきた私を、あの人は...たくさんのことを教えてくれた。
エリザベスさんのかわいさとか、お蕎麦の美味しさ、銀さんたち万事屋や、江戸に住まう人たち、人とのつながり。
そして何より....。
「A?」
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都野桜(プロフ) - 律です。さん» こちらこそ!短編もちょくちょく書けるように頑張る! (2021年4月5日 5時) (レス) id: 8777a98142 (このIDを非表示/違反報告)
律です。(プロフ) - コメントありがとうございます!お互い頑張りましょう (2021年4月4日 15時) (レス) id: 37614e4870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:都野桜 | 作成日時:2020年12月15日 0時