最強チャンピオンの苦悩２ (ページ3)

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いつも笑顔を振りまいていると思わないほうがいい　３【キバナside】ページ3

スマホロトムを呼び出し、俺は写真を撮るように指示を出す。

『撮るロトー。３、２、１』

―――バシャ！

俺はシャッターを切られる瞬間、女にコップに入っていた水を掛けた。

「え、何！？」

女はまだ状況が理解できずに戸惑っていた。

「おい、俺様の話をよく聞け。
Aを傷付けるってことは、俺様が黙っちゃいねーってことだ。
テメェはこうやって、あの日このカフェでAに今俺様がしたことをやったんだろ？

同じことをされて、どんな気分だ？
嬉しいわけねーよな？
おい、何か言ってみろよ」

女はまさか自分が同じことをされるとは思っていなかったようだ。
俺の話に驚いて、ただ怯えているだけだった。

「おい、お前らも今の瞬間どーせー写真に撮ったんだろ。
だったら話が早い。ポケスタに投稿して拡散でもしておけ。俺様を怒らせると酷い目に合うってな」

俺は、女の連れてきた仲間に怒りに任せて言った。

これでいい。
これでいいんだ。
この写真が拡散されれば、Aに手を出す人間も今より減るはずだ。

「もう、気が済んだだろ。キバナ」

そう言って、今まで傍観していたダンデが間に入って止めてきた。

「さっき委員会に通報した。
Aのジムチャレンジを妨害した罪でな。すぐに委員会の人間が来て、この女性は連れて行かれる」

「う、嘘でしょ……」

女の顔は完全に絶望していた。

「俺様だってな、自分の好きなヤツがあんな目に合って腹が立たないわけがないだろ。
これに懲りたらもう二度と、Aの前に現れるんじゃねー」

そして、女はしばらくして委員会の連中に連行されていった。

「キバナ、お前も女性に対してやりすぎだぞ」

「わかってるって」

「お前もお前で、全く手の焼けるやつだ。
だが、今回の件は俺でも何をしていたかわからんな……」

「だろ？別に俺様を擁護してほしいわけじゃないけどよ、やっぱそうだよな？」

「まぁ、Aは妹のようなものだからな」

「とりあえず、用は済んだし俺様は帰るわ」

そう言って、俺は席を立つ。

「Aは今、スパイクタウンにいる。
さっき、ネズから連絡があった」

「で、今何してんだ！？」

俺はダンデの両肩を掴み、答えを促す。

「バトル後に倒れて、今はネズが面倒をみているらしい。
……、キバナ、行くなよ。しばらくそっとしといてやれ」

「……クソッ！」

せっかく居場所がわかったのに、今すぐにでも会いに行って安心させたいのに、それが出来ずに悔しかった。