限界突破 １【キバナside】 ページ19
何で俺のベッドでAが俺のパーカーを抱きかかえて寝てるんだ？
しかもめちゃくちゃ幸せそうな顔で寝てやがる。
俺はAを起こさないように、そっと近づいてベッドに腰をかける。
これはマジでやべぇ。
色々と限界だ。
俺は必至で理性を保とうと、一度目を瞑って視界を閉じた。
「……、うぅ……キ、バナ、さ、……ん」
Aの寝言で俺は、目を開ける。
「……、き」
「何だって？」
うまく聞き取れずに、Aの顔に自分の耳を近付けた。
ふと窓から入る月の光がAを照らしていて、より顔がはっきりとわかる。
「泣いてたのか……？」
Aの目尻には、泣いたあとのような涙の痕があった。
まつ毛もまだ湿っている。
「キバ、ナさん……、す、き……」
「え……」
確かに今、Aの口から"好き"だと聞こえた。
自分の胸の鼓動が早くなり、音がうるさくて仕方ない。
"あぁ、俺も好きだ"
本当にAが好きで好きで堪らない。
今まで壊れ物を扱うように接して我慢してきたが、俺の理性は簡単に吹っ飛んだ。
寝ているAにまたがり、何度もキスをした。
噛みつくように、ときには角度を変えて何度も深いキスを。
それにAは気付く。
「え、キバナさん！？」
「よぉ、こんなの俺を誘ってるとしか思えねーんだけど？」
俺のベッドで寝て、俺のパーカーを大事そうに抱えて、泣いたあとのように目がうるんでて、俺が濡らした唇があって。
「こ、これは違うの！
キバナさんの帰り待ってたら眠くなって、その……」
「別に待つならリビングでもよかっただろ？」
「そ、それは……」
Aは返答に困ったのか、俺から目を逸らす。
「なぁ？……今から俺と誰にも言えないことするか……？」
「え……？……んッ！」
俺は再びAの唇に噛みつくように深く唇を重ねる。
Aは初めてのことで、どう息をすればいいのか混乱して涙目になっているが、今はそれさえも俺をそそる要素にしかなっていない。
深く唇を重ねながら、片手でAの手首を拘束して、もう片手で俺は自分の服のボタンを外し、バンダナを外し髪をほどく。
そのままAの服の中に手を忍ばせた。
首筋には"俺のもの"という証もしっかりと残す。
「も、ッ、……キ……バナさん、やめッ」
「やめねー」
俺の目と涙を流したAの目が合って、自分の手を制止させる。
「どうして、いきなりこんなことするの……ッ！？」
限界突破 ２【キバナside】→←お酒の力は恐ろしい ２【キバナside】
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作者名：美咲 | 作成日時：2019年12月15日 2時
