最強チャンピオンの苦悩２ (ページ17)

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お酒の力は恐ろしい　１【キバナside】ページ17

飲み会が始まって早一時間が経とうとしていた。
ダンデと俺はそれなりにできあがっていて、ネズはまだまだいけそうな感じだ。

今持ってるグラスの中身を飲み切り、口を開いたのはネズだった。

「結局のところ、Aとは進展あったのですか？」

「進展？何のことだ？」

先に話題に食いついたのはダンデだ。

ダンデはAのことを、かわいい妹のように思っている。

何があったかなんて、言えねぇ……。

「あー……、それはだな……」

「まさか、まだ告白さえできてねーのですか？」

「告白！？」

ダンデは飲みかけていたビールをテーブルに勢いよく置く。

「キバナ、詳しく聞かせろ……」

もう最悪だ。
俺は、ダンデに絞められる覚悟で自分の気持ちを話そう……。

「Aが好きなんだよ。
どうしようもないぐらいに。完全に俺様の一目惚れだ」

「全然気付かなかったぞ」

「ダンデは鈍感だから気付かなくて当たり前ですよ」

ネズが気怠そうにため息をつく。

「待て！まさかだとは思うが、手は出してないだろうな？」

「出してねーって！
……昨日、キスはしたけど……」

二人の目が完全に点になった。

「は？ポケスタ見ましたが、あそこまでいい雰囲気で告白しないでキスって……。
キバナ、童貞じゃねーですか」

「童貞じゃねーよ！
マジで、Aを前にすると、自分に自信なくて言えーんだって」

「キバナ、俺はキスさえも許さんぞ。
そもそもAの気持ちがわからないのに、何で先にキスなんだ」

「……かわいすぎて我慢できなかった……」

「まぁ、でもいいんじゃねーですか？
Aはキバナなこと好きですし」

今度は俺とダンデの目が点になる番だった。

え？Aが俺のこと？

「スパイクタウンにいたときに、キバナの話ばかりでしたからね。
というか、あれだけ女と遊びまくってたくせに、ここまでいきなりピュアになると尊敬通り越してキモイですね」

「確かに、手を出していないからな」

「待て待て、お前ら俺様を何だと思ってやがる」

「常に飢えたケダモノじゃねーですか」

「今まで何人もの女性を泣かしてるからな」

「俺様しんどい……」

俺のイメージが最悪だということを、思い知らされた。
仕方ねーだろ、今まで本気になったことねーんだから。

俺は追加注文していたビールが運ばれてくると、それを一気に飲み干した。