最強チャンピオンの苦悩２ (ページ13)

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酒は飲んでも飲まれるなページ13

さて、どうしたものか。
この雰囲気とサプライズに負けて、私は今後ろに座っているキバナさんに背中を預けていて、キバナさんは私の腰に両腕を回しているのだが……。

今更になって、距離近くない！？
近いってか、真後ろだし腕が身体に触れてるし……ど、どうしよう……！

しかもクリスマスプレゼントをもらっておいて、私は何も用意してないし。
てか、用意どころかクリスマスの存在さえ忘れていたし……。

「私ここまでしてもらったのに、何もプレゼント用意できてない……」

「別に忘れてたわけだし、仕方ねーだろ。
しかも、これは俺の自己満足みたいなもんだしな」

「だからって、何もないのは申し訳ないよ。
明日、何か買ってくる！」

「そんな悪いって思うなら、今もらうわ」

そう言ってキバナさんは、私の頬に片手を添えて後ろに振り向かせた。
そして、顔が近付き唇に柔らかく甘い感覚が走る。

キスされたのだとわかった。

優しくて触れるだけのキスだがその間、時間の流れが永遠のように感じた。

そして名残惜しそうにキバナさんは離れていく。
離れていくときは、ずっと私の頬に手を触れたままだった。

「ごちそうさま」

意地悪な笑顔と一緒に、キバナさんは口を開いた。

何この余裕な感じ……、大人ってずるい。
これだけで、私の心臓は限界なのに。

キバナさんは私にキスしてきたけど、どういう意味だろう。
私は好きだから嫌なわけがないけど……。

ここは私が告白するべき？
いや、無理無理。
このタイミングで振られたら立ち直れない。

「A？嫌だった……よな。悪かった」

「だ、大丈夫！」

私はテーブルに置いてあったサイコソーダを一気に飲み干した。

何で"大丈夫"って言ってしまったんだろう。
そこは"大丈夫"じゃなくて"嫌じゃない"って言うべきなのに……。

「お、おい！それ酒！」

「え？」

キバナさんが私から空のグラスを取り上げる。
が、私の記憶はそこで途切れてしまった。

―――――

朝、目を覚ますとキバナさんのベッドで横になっていた。
目の前には私に腕枕をしながら寝ているキバナさんがいる。

いや、またしてもこの状況おかしくない？
しかも今回はお互いに下着しか身に着けていない……。

「また、記憶ないんだけど……」

しかもお互い服着てないって、もしかして……やってしまった？

私は起こさないようにそっとベッドから出て、服を着る。
テーブルに"行ってきます"と置手紙をして私はルリナも元に向かった。