最強チャンピオンの苦悩２ (ページ2)

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いつも笑顔を振りまいていると思わないほうがいい　２【キバナside】ページ2

カフェに着くと、早速俺のファンが集まってきた。
一人一人、いつものように写真を一緒に撮ったり、サインをしたりする。
私服で来ているせいか、いつもより集まってくる人も多い気がする。

注文していたコーヒーが運ばれてきた頃には、
ある程度人数は周りから減っていた。
しかし、お目当ての人物は見当たらない。

俺は長期戦覚悟で、コーヒーを飲みながらポケスタをチェックしていた。

すると思ってもいなかった人物が現れる。

「キバナ、一人でどうしたんだ？
というか、そんな険しい顔をしてどうしたんだ？」

ダンデだった。
ダンデは一人なのか、俺の向かいの椅子に腰をかけた。

「そんな、俺様の顔って今ヤバいか？
だとすれば、間違いなくこれのせいだ」

そう言って俺はダンデに、例の拡散されている写真を見せる。
ダンデは何も知らなかったようで、その表情はみるみると険しいものとなっていった。

「……、これは酷いな」

「だろ？しかもこの女、俺様のファンだ。
よくこのカフェで会うから覚えている」

「まさか、その女性を今待ってるのか？」

「あぁ。さっきマスターに聞いたら毎日夕方には来るらしい」

そんな状況をダンデに説明してると、店に数人の女性客が入ってきた。
その中に、あの女はいた。

女は俺に気付くと、一緒に来店した仲間たちを連れてこちらに歩いてくる。

「キバナ様、お久しぶりですね。
お席ご一緒してもよろしいですか？」

「おう、いいぜ。俺様の横が空いてるから座れよ」

そう言うと、女は何も疑わずに俺の隣に座った。

「キバナ様、最近彼女さんとの写真が投稿されていないんですけど、どうかされたんですか？」

その"彼女"を攻撃しておいて、こんな質問をしてくるなんていい度胸だ。

「どうもしてねーよ？
アイツ今ジムチャレンジで忙しいしな」

「そうなんですね。
てっきり別れたかと思いました。私なら、キバナ様を退屈させないのに……」

そう言うと、女は俺の腕に自分の腕を絡めて近寄ってくる。

A以外に触れられるのが、こんなにも不快だなんて初めて知った。
気持ち悪くて仕方ねぇ。

「わりぃが、俺様にはAしかいねーんだわ」

今もこれから先も、きっと俺の横にA以外がいるだなんて考えられない。

「そんなに、彼女が好きなんですね……。
あ、写真でも一緒に撮りません？」

俺はその言葉を待っていた。